調剤薬局への転職したい薬剤師がチェックすべきメリットデメリットと転職のコツとは

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薬剤師の転職先で大半を占める調剤薬局ですが、その調剤薬局にも企業ごとに様々な特色があります。

様々な特色がある以上、自分とミスマッチな調剤薬局への転職をしてしまうケースも少なくありません。

自分と合わない職場で仕事をするのは精神的にも辛く、最悪の場合体調にも影響を及ぼしてしまいます。

特に調剤薬局では狭い空間で、周りのスタッフと連携を図りつつ、調剤や監査などといった繊細さを求められる業務を迅速にこなさなければならないため、業務や人間関係といった環境が仕事のパフォーマンス上では重要になると思います。

筆者も過去何度か調剤薬局への転職を経験していますが、中にはミスマッチな企業へ転職してしまった苦い経験があります。

当時はあまり深く考えずに年収目当てで転職をしたのですが、転職した先が非常に多忙で「監査は短く!とにかく早く薬を渡して!患者様との話も短めに!」といった特色の調剤薬局だったのです。

多くの外来処方箋が来る中で淡々と仕事をこなしていくのはよかったのですが、筆者自身は「とくかく捌く!」というよりは患者様との対話も重要視するタイプの薬剤師ですので、気持ちと仕事との間で乖離が生じ、ストレスを感じていました。

加えて在宅医療の仕事も重なり、患者様のことを考える時間も余裕もなくなっていきました。

薬歴どころか翌日渡す予定の患者様の薬すらも業務時間内に調剤できない環境で、残業してやっと監査まで終える毎日です。

仕事を終えるころには、皆疲れ切った顔をしていたのが今でも記憶に残っています。

気持ちと仕事の乖離を抱えて、残業ばかりの毎日でしたので、ついストレスで胃を壊したり眠れなくなったりと健康にも支障が出てしまいました。

あまりのストレスに再度転職を決意しましたが、この苦い経験を基に「今度は環境を重視して転職先を探そう!」と心に決めていました。

なかなか転職活動は苦戦しましたが、転職エージェントのサポートもあり、その後どうにか自分に合った調剤薬局への転職をすることができました。

自分に合った調剤薬局へ転職した後は、過剰な多忙さやオーバーワーク状態になる心配もなく、自分と似たようなタイプの薬剤師が多い環境でしたので、仕事にかかるストレスも以前に比べて激減したように感じました。

このような苦い経験を経て、ミスマッチな企業への転職は自分の身を壊すことを思い知りました。

調剤薬局への転職は、入ってみなければわからない部分も多くあるかとは思いますが、なるべくミスマッチな企業への転職は避けたいと誰もが考えるはずです。

今回は調剤薬局の特徴と、自分に合った調剤薬局への転職をするためにはどういったことに注意すればよいのかを、筆者の経験や薬剤師仲間の体験談を元に紹介していきます。

「調剤薬局への転職を考えているけど、慣れていないのでどういった点に気を付ければいいのか、調剤薬局ごとにどんな特徴があるのかわからない!」といった方は参考にしてください。

転職前に知っておきたい調剤薬局の特徴とメリット・デメリット

調剤薬局には大きく分けて、大手調剤チェーンが経営する企業の薬局と、中小規模の企業の薬局があります。

同じ調剤薬局で共通する業務内容はありますが、年収の傾向や働き方、細かなルール等でそれぞれ違いがあります。

大手調剤チェーン

大手調剤チェーンは規模が大きく店舗数も多いため、スタッフの出入りや異動も中小に比較すると激しいです。

ヘルプ体制が充実しているために急な人員不足にも柔軟に対応することができます。

研修や役職ごとの会議が中小に比べて多いですが、他の店舗のスタッフとも会う機会も中小に比較すると多いかと思います。

大手ドラッグチェーンでは、調剤部門とドラッグストア部門が併設している店舗も多いですが、業務は独立しているところもあります。

メリット

業務手順が統一されている

大手は店舗数が全国規模で多いため、業務のマニュアルやルールが統一されており、仕事がしやすいです。

ブロック長やエリアマネージャーといった相談できる立場の人がいる

各エリアにブロック長やエリアマネージャーといった上位の役職の薬剤師がいるため、業務上で発生した問題やトラブル、人間関係トラブルといった事態が発生してもすぐに相談することができます。

店舗数やスタッフの人数も多いため、人間関係のトラブルで業務に支障がありそうならば、上司に相談して他店舗へ異動することもできるのが安心できるポイントかと思います。

ヘルプ体制が充実しているので欠員も補いやすい

人数が多くヘルプ体制が充実していますので、有給や急な病欠などでスタッフの人数が不足してしまっても、多店舗からの応援で補うことができます。

そのため、自分も休みをとりやすいことが多いです。

福利厚生や出産・育児支援が充実している

福利厚生も充実しており、優待で施設利用の割引などもできる企業もあります。

また、育児支援にも積極的な企業も多く、結婚や出産のライフイベントがあっても安心して仕事ができる体制が整っているのも魅力的な点です。

研修が充実しているため、勉強しやすい

研修も充実している企業が殆どで、様々な社内研修の実施だけでなく、認定薬剤師の単位取得の支援としてe-ラーニング受講の費用や認定薬剤師申請の費用を負担してくれる企業も多いです。

企業によっては、薬局長やエリアマネージャーといった役職の薬剤師に向けた研修もあります。

薬の在庫問題に柔軟に対応できる

店舗間で薬の移管ができるため、在庫の心配は中小に比べて解消しやすいのも大きな利点かと思います。

特に今の環境では、発注した薬がメーカー欠品等の事態で届かないというケースが少なくありませんので、薬の在庫入手やデットストックといった心配が調剤薬局を悩ませる大きな問題となります。

大手調剤チェーンであれば、他の店舗と薬の移管といった手段がとれるため、こういった問題が生じても問題なく対応できるのがメリットです。

デメリット

薬の準備に時間や手間がかかりがち

マニュアル、ルールが統一されているのは非常に良いことなのですが、受付→調剤→監査→投薬までの過程に細かなチェック項目があるため一人の患者さんに対して時間がかかりがちです。

業務時間にすべての調剤が終わらないこともよくあり、患者様から待ち時間のクレームが多いところもあります。

棚卸の回数が多くて負担になる調剤薬局もある

棚卸の頻度が多い調剤チェーンもあります。

筆者の知り合い薬剤師が大手調剤チェーンで勤務していますが、月に1回の頻度で棚卸があるため残業続きになっているそうです。

採用品目が多い店舗で月1回の棚卸業務は非常にストレスを感じる要素だと思います。

ヘルプ勤務が多くストレスに感じることも

ヘルプ体制が充実している反面、自分も応援勤務で他の店舗にヘルプにいくことが多くなります。

慣れない店舗での仕事は想像以上にストレスとなりますので、「ヘルプが嫌だなぁ」と考える薬剤師の方も少なくありません。

異動が多い

ヘルプだけでなく、スタッフの異動も多いです。

特に若手の薬剤師は異動が激しく、都心部ではほぼほぼ異動必須となります。

同じ環境で落ち着いて働きたい方には向かないかもしれません。

通勤時間が長めになることが多い

通勤時間は長くなる傾向が多いです。

企業によっては最大1時間半を上限として配属店舗を決めているところもあり、通勤だけでヘトヘトになってしまうこともあります。

研修で予定が潰れることもある

研修が充実している反面、研修で希望した休みが潰れてしまうこともあります。

行事やイベントに参加したいのに集合研修で予定が潰れてしまうケースも少なくありません。

年収は中小よりも低めなことが多い

中小に比較すると給料も低めです。

エリア勤務や全国勤務といった地方での勤務となると年収も少し上がりますが、都心部は低い傾向にあります。

昇給も薬局長クラスにならない限りは年に少額しか上がりません。

業務でどんなに頑張っても給料に反映はされないのがデメリットかと思います。

企業によっては昇給の為の試験があるところもあります。

中途採用のハードルが高め

中途採用もありますが、なかなか採用されにくいこともあります。

大手は新卒採用に力を入れているため、中途で入ろうとすると転職活動で苦戦するかもしれません。

筆者の知り合いにも都心部で大手調剤チェーンへの転職を試みた薬剤師が何人かいますが、書類選考の時点で落ちてしまうことが多かったです。

中小規模の薬局

中小規模の調剤薬局は、大手に比較すると店舗や人数も少ないですが、異動は控えめなことが多いです。

年収も都心部でも大手よりも高い傾向がありますが、経費節約に力を入れている企業もが多く、仕事で小さなストレスを感じる方もいるかもしれません。

メリット

異動は少な目

大手よりは異動が少ないため、同じ店舗で落ち着いて仕事をしたい人にはメリットとなります。

絶対に異動が嫌な方は1店舗のみの薬局を狙ってもよいかもしれませんが、人間関係にトラブルがあると逃げ場が転職しかないので注意が必要です。

年収は大手よりも高めの場合が多く、頑張りが反映されやすい

大手と比較すると都心部でも年収が高めの調剤薬局があります。

上層部との距離が大手よりは離れていないため、個人の頑張りを評価して年収に反映してくれる企業もあります。

中規模であれば研修体制が充実している企業もある

中規模程度の調剤薬局であれば、社内研修や研修認定薬剤師取得の支援が充実している企業もあります。

研修認定薬剤師を取りたい方や研修を受けたい方であれば、中規模の調剤薬局を狙ってみてもよいかと思います。

通勤距離はそれほど長くなりにくい

異動の心配が少ない分、通勤距離も大手ほどは長くなる心配も少ないです。

企業によっては、定期代のことを考慮して最も近い店舗での配属を原則として決めているところもあります。

デメリット

節約志向が強く、ストレスになる人もいる

小規模ほど節約志向が強い調剤薬局が多いです。

大手はコピー用紙やごみ袋も躊躇いもなく使用していきますが、節約志向が強い小規模調剤薬局だとこの辺りの経費削減を強いられ、人によってはストレスを感じるかもしれません。

筆者も小規模の調剤薬局で仕事をした経験がありますが、新しいコピー用紙は患者様に渡すものだけしか使用せず、調剤録や社内で使うものに関しては裏紙を再利用することに徹底していました。

この辺りは慣れてしまうと違和感がなくなります。

コピー用紙の再利用だけでなく、空調の温度も徹底している薬局で仕事をしたこともあります。

夏場でもあまり低い温度にはできないため、暑がりの薬剤師さんが辛そうだったのを覚えています。

こういった小さな経費削減で経営を保っている部分もあるかとは思いますが、苦痛に感じる方は規模の大きめな調剤薬局を選ぶとよいかと思います。

容器代などを請求する手間がかかることがある

大手ほどお金持ちではありませんので、会計時に容器代を別途で請求する調剤薬局もあります。

筆者が過去に勤めていた調剤薬局では、シロップの容器や軟膏の容器も1個50円で販売していました。

薬代とは別でレジ打ちしなければいけなかったり、患者様から「他の薬局ではかからなかったのに何でかかるのよ!」とクレームを受けたり、業務上でかなりのストレスを感じました。

設備が多少壊れていても使い続けるところがある

使えるものはギリギリ使えるまで使う調剤薬局が多いですので、設備が多少壊れてしまっても騙し騙し使うという事態がありがちです。

分包機もどこかの部品が欠けてしまっても、修理費用が高額なため、どうにかそのまま使えるなら使っていくことが多いです。

人員不足に陥りやすい

規模が小さめなため、病欠や退職で人手不足に陥りやすいです。

ヘルプ体制も大手ほど充実していないので少ない人数で仕事しなければならないケースもあります。

退職後の人員補充がうまくいかない場合は派遣薬剤師を募集しますが、応募がなかったらそのままの人数で仕事をしなければならないこともあります。

また、人手不足になると休みも取りづらい状況になります。

1店舗のみの薬局の場合、逃げ場がなくなる

1店舗のみの薬局の場合は、万が一人間関係のトラブルが発生した場合は逃げ場がありません。

大手の場合は異動といった手段が使えますが、他の店舗がないと転職するしか逃げる手段がありません。

若手薬剤師が少ないことがある

大手には年齢の若い薬剤師が多いですが、中小だと年齢層は高めです。

そういった環境であるため、若手の薬剤師が中小に転職すると、同世代と会話する機会が驚くほど減ります。

筆者も若手で大手から中小に転職を経験した身ですが、殆ど同世代と会話をする機会がなくなりました。

反対に、年齢層高めの薬局で若手がいると可愛がられることもあるのでデメリットとも言い切れないです。

筆者はよくベテラン薬剤師さんや事務さんにお菓子や果物をもらっては大変喜んでいました。

在庫管理が大手よりも厳しめなことが多い

大手のように薬を多店舗移管できるような選択肢が多くありませんので、在庫管理が大手より厳しめになっています。

棚卸の直前はギリギリまで在庫を絞るので欠品の恐怖と隣り合わせになります。

薬が欠品したときの対応もストレスに感じる薬剤師の方は少なくはないかと思います。

在庫がないと激怒される患者様もいれば、遠方から来ているので不足薬を郵送しなければならない患者様もいるため、繊細な対応が必要となるためです。

大手に買収されて大手の社員になることもある

経営が傾いたり、経営者の後継ぎがなかったりすると大手にM&Aで買収の危機があります。

特にこのコロナ禍で処方箋枚数が減った調剤薬局が、M&Aで買収されて大手の調剤薬局の一部になるケースも少なくありません。

筆者も働いていた調剤薬局が買収されて大手の傘下に入ったということがあります。

大手に買収されると、看板も大手チェーンのものに変わるだけでなく、調剤内規やルールも変わってしまいます。

「今まで落ち着いて働いてこれていたのに、大手に買収された途端に仕事内容が大きく変わって働きづらくなってしまった!」「合併したけど、合併先からきた薬剤師とやっていけそうにない・・・」と悩む薬剤師も多いのです。

こういった事態を避けるためには、調剤だけでなくドラッグストアとしての売り上げがある企業や、経営が調剤の他にも事業を設けていて利益が安定している企業を選ぶと安心できるかと思います。

調剤薬局転職における注意点と回避方法

大手と中小の調剤薬局でそれぞれの違いやメリットとデメリットを取り上げましたが、人によって向き不向きがあり、100%満足できる職場は残念ながら存在しません。

自分にとってより良い転職をするためには、どのような条件に対して優先順位が高く、逆にどのようなデメリットだと妥協できるのかを考える必要があります。

また、大手と中小といった枠で考える他に、以下の注意点を把握しておくと不幸な転職を回避しやすくなります。

調剤薬局の転職における注意点と回避方法を紹介していきます。

年収が高めの薬局は仕事がハードな可能性が高い

都心部の中小規模で年収が高めに設定されている調剤薬局は、高確率で業務がハードです。

在宅医療と外来をどうにか同時にこなしている調剤薬局か、処方箋枚数が多くて常に忙しい調剤薬局のどちらかであるパターンが多いです。

年収を最優先で転職先を決めるならば良いのですが、環境重視で「忙しさも程々に、落ち着いて仕事をしたい」という方には注意が必要です。

調剤薬局には高確率でお局様がいる

調剤薬局は女性が多い職場であることが多い故に、必然的に「お局様」がいる薬局が多くなります。

お局様は薬剤師に限らず、医療事務であることもあります。

お局様がいる環境下での仕事は劣悪であることが殆どです。

その人のご機嫌次第では仕事に支障をきたしてしまう事態も少なくありません。

特に新人薬剤師だとお局様のターゲットになりやすく、悪質なケースだと陰湿な嫌がらせにより精神を病むほどの事態につながることもあります。

人間関係は入社してみないとわからない部分は多いですが、面接や見学時等で「おや?」「なんかこの人とコミュニケーション取りづらいかも?」といったことがないか注意深く探ることで、お局様のいる職場を回避しやすくなります。

門前の医師の人柄や仕事ぶりにも注意が必要

調剤薬局内の環境だけでなく、門前の医師にも注意が必要です。

医師の性格に難ありであったり、病院での併用薬の確認がずさんであったりする場合は、薬剤師のストレスや仕事の負担が増えます。

過誤の危険性もあるため、重要な要素です。

中には正当な理由で疑義照会しても、「僕の処方にケチつけるのか!このままでいいって言っているだろう!!」と理不尽に薬剤師に怒鳴り散らしてくる医師もいます。

このような医師が門前にいる調剤薬局で仕事をするのは非常にストレスを感じやすく、安心して仕事ができるはずがありません。

筆者が過去に仕事をした調剤薬局の門前病院では、併用薬のチェックの見落としが非常に多かったです。

「また併用禁忌の薬でてる!」と薬剤師が毎回疑義照会するという事態が後を絶たちませんでした。

調剤薬局は薬の飲み合わせを確認する最後の砦なのですが、患者様の安全の為にも、病院側もしっかりと併用薬を把握してもらいたいです。

門前の処方科目についても気を配ること

門前の処方科目も転職先を決める重要なポイントとなります。

メンタル系の門前に勤めると、繊細な患者様対応が必要になります。

細かな要素を気にされる患者様が来局されることが多いためです。

自分がその辺りを上手にこなせるかということ以外にも、自分が患者様に精神的な共感をしやすく疲れやすいタイプではないかを考えておく必要があります。

残業を気にされる方は耳鼻科や眼科を避けたほうが良いかもしれません。

花粉のシーズンになると特に耳鼻科や眼科が混雑して門前の病院の営業時間が伸びるため、残業時間が長くなります。

耳鼻科と小児科の門前の場合、子供の患者様が多く来局されます。

かなり騒いだり、中には薬局内で嘔吐したりすることもあるため、特に子供が苦手な薬剤師の方はこれらの科目を避けた方がストレスなく仕事ができるかもしれません。

また一度に兄弟や姉妹の分で処方せんを持ってくる場合が多いため、家族で同じような処方が出た薬へ目印をつける等の薬への配慮や、複数人分の投薬が苦手な方の場合もこれらの科目を避けたほうが、負担が少ないです。

調剤薬局への転職をスムーズに成功させる方法

仕事をしながら調剤薬局への転職を決める方が多いかと思いますが、薬剤師転職に特化した転職エージェントを利用すると忙しい中でもスムーズに転職がしやすいです。

転職エージェントに相談すると自分に合った求人が見つかりやすいですが、自分でもしっかりと紹介された求人の情報を探ることも重要です。

薬剤師専門の転職エージェントを複数併用する

薬剤師専門の転職エージェントを複数利用することで、希望の求人が見つかりやすくなりいます。

最低3つは併用しましょう。

なぜならば、以下のような理由があるためです。

  • 各転職エージェントにも地域によって求人数に差があるため
  • 転職エージェントの担当が相性悪かったり、悪質だったりした場合、他の転職エージェントに切り替えることができるため
  • 併用することで転職エージェントに対して有利な立場となり、転職エージェントの利益優先になるような求人紹介をされにくくされるため

1社のみの利用は危険です。

筆者は過去に1社のみの利用で悪質な担当がついてしまい、ミスマッチ企業への面接や転職をゴリ押しされた苦い失敗経験があります。

転職エージェントの併用はやりとりも多くなってしまい、面倒に感じるかとは思いますが、不幸な転職を避けるためにはここで手を抜かないようにしましょう。

転職エージェントに登録するとまずはヒアリングから始まりますが、この際に必ず自分の転職軸や希望する条件についてハッキリと優先順位を伝えることが大切です。

ここで曖昧に伝えてしまうと、ミスマッチな企業を紹介されやすくなってしまうので、「在宅は絶対にやりたくない」「残業は多少してもいいが、通勤圏内は30分以内」「社内研修があるところがいい」と言った感じで自分の希望を伝えましょう。

筆者おすすめの転職エージェント

薬剤師転職エージェントは多くありますが、数が多くてどれを利用したらいいのかわからない方も多いかと思います。

そこで、筆者自身の経験や、薬剤師の先輩や同期の体験談をもとに、調剤薬局への転職をする際におすすめしたい薬剤師転職エージェントを紹介します。

転職エージェント選びに困っている方は参考にしてください。

但し、どの転職エージェントにも担当に当たり外れがあるので、必ず併用を検討してください。

ファルマスタッフ

ファルマスタッフは、調剤薬局への転職を考えたらまずは登録しておきたい、大手の薬剤師専門の転職エージェントです。

厚生労働省認可の職業紹介優良事業者のマークを持っていることに加えて、拠点も全国で12ヵ所あるため、都道府県を跨いだ転職相談も安心です。

大手調剤薬局の日本調剤が母体なため、調剤薬局の求人、派遣やパートの求人が豊富です。

筆者も過去に転職や派遣でお世話になりましたが、面談もできる限り筆者の最寄りに近い場所まで足を運んでもらいました。

書類添削や面接対策も丁寧にやってもらえました。

面接対策は面接直前に作戦会議のような感じでやってもらえたのですが、直前の方が記憶に残りやすいので本番に対応しやすかったです。

面接同行は可能な限り(企業側に断られない場合のみ)してくれますので、面接慣れしていない筆者でも安心して面接本番に挑むことができました。

うまく喋ることができなかった場合でも、さりげなくフォローをいれてくれたりしました。

また、入社後のフォローも行ってくれますので、入社後に条件について企業側と相違が発生した等のトラブルがあっても間に入ってしっかりと対応してくれます。

相談の方法はメール、電話、面談です。

薬キャリエージェント

薬キャリエージェントは医療情報サイト「m3.com」を運営している会社が母体なため、求人数は調剤薬局や病院、企業を含めてトップクラスです。

最短即日・最大10件の求人を紹介してくれるので求人の情報が迅速に得られやすいです。

主な相談方法は電話とメール、担当者によってはLINEでのやり取りも可能です。

おすすめしている他の薬剤師転職エージェントとは異なり、ほぼ面談はできないです(東京オフィスのみ可能な場合あり)。

しかしながら、筆者利用時は電話で丁寧なヒアリングを行ってくれました。

転職先の希望条件だけでなく、利用者がどのようなタイプの薬剤師なのかを知るために「仕事でどんなことを心掛けているか」「仕事で印象に残ったエピソードは何か」といった内容もじっくりとヒアリングしてくれます。

面接対策もオンラインで本番を意識した感じで行いますが、それだけでなく改善点をわかりやすくまとめたフィードバックもメールで送ってくれるため、面接本番までにしっかりと面接対策の準備ができます。

運営会社のエムスリーは他の転職エージェントとも提携しているため、「薬キャリ」のサイトから登録すると様々な転職エージェントに一括で登録することができます。

ただし、やり取りは各転職エージェントにしなければならない上に、求人情報によっては「薬キャリエージェント」以外の登録のみになってしまうこともあります。

ややこしくなってしまう方は、直接「薬キャリエージェント」から登録した方が確実に薬キャリエージェントの担当者に相談することができますので、そちらの方がおすすめです。

アポプラス薬剤師

アポプラス薬剤師は、大手調剤チェーンのクオール薬局が母体にあり、拠点は全国に10ヵ所で求人数も最大手のファルマスタッフやマイナビ薬剤師に次いで多いため、幅広いエリアに対応しやすいです。

電話やメールだけでなく、直接面談することを大切にしているため、じっくりと転職相談をしたい方にはおすすめしたい薬剤師転職エージェントです。

書類添削と面接対策のサポートは勿論、できる限り面接に同行してくれるようです。

筆者の周りに何名かアポプラス薬剤師で転職された先輩がいますが、質の良い担当者がついてくれたそうで、「若い担当者さんだったんだけど、丁寧に対応してくれた上に色んな企業の経営者からの信頼も厚いみたいで、すごい優秀な人だったよ~」と良い評判を聞いています。

アポプラス薬剤師には研修の支援制度があり、ブランクが長めの薬剤師の方や調剤が初めての薬剤師の方が安心して仕事ができるように調剤の実技研修もあるため、「ちょっとブランクあるから仕事に就くのが不安かも・・・」と考えている薬剤師の方にもおすすめです。

無料登録だけで実技研修の受講料が半額になりますが、アポプラス薬剤師経由で転職が決まった場合は実技研修が無料になる嬉しい特典があります。

薬局の見学の際に必ず調剤室等を観察する

調剤室見学は、転職失敗を防ぐ重要な手がかりを探る絶好の機会です。

見学のときだけ良く見せる企業もいますが、完全に隠し通せていない部分もあるので見落とさずに見学していきましょう。

忙しい中で恐縮してしまうかもしれませんが、なるべく営業時間で薬剤師が仕事をしている時間を見学した方がより現実的な情報を得ることができます。

見学の際に注意するポイントとしては、

  • 調剤室が散らかっていないか(監査環境の不備、過誤に繋がりやすい)
  • 企業理念以外の変な掲示物が貼っていないか(「指示待ちになるな!動け!」などの謎のスローガンが記載されているとブラック率高め)
  • 薬剤師ごとにボックスが用意されているところの場合、箱の中に紙の束が入っていないか(薬歴がたまりすぎている可能性)
  • 薬剤師や医療事務がきちんと挨拶してくれるか(しない場合はコミュニケーションに問題ある可能性あり)
  • 服装の規定を気にされる方は働いてるスタッフの服装もチェック(規定の厳しさや緩さを判断しやすい)

といった内容が注目しやすいです。

患者様が来局されている場合は、対応の様子も見ておきましょう。

職場の雰囲気が把握しやすくなります。

直属の上司になりそうな人とは絶対に会話をしておく

直属の上司になりそうな人(殆どは管理薬剤師)とは必ず会話をしておきましょう。

調剤薬局の仕事のしやすさで重要になるのは、直属の上司との相性です。

相性が悪い上司と仕事をするとうまく連携ができず、仕事に支障が出て最悪過誤につながってしまいます。

管理薬剤師の場合は面接に同席していることもあるので、そこでの会話で何か違和感や「あれ、今の返答変だな・・・」「なんかちょっと話しづらい」などの感覚があれば要注意です。

自分と相性が良くない可能性があります。

内定承諾前に必ず条件の確認を転職エージェント経由で行う

内定をもらえてもすぐに承諾せず、必ず自分にとって重要な条件の確認をエージェント経由で行うようにしてください。

入社後に、入社前とは違う条件であることに気づき、「話が違うじゃないか!」といった事態を避けるためです。

筆者は過去に「休憩の入れ替わりのタイミングを除き、一人薬剤師はない」という話で入社した調剤薬局で、「実は日曜日勤務のときは一人薬剤師」と入社後に聞かされたことがありました。

自分でもしっかりと面接時に確認したつもりでしたが、エージェントを経由して再度確認すればこういった事態を避けることができたかもしれません。

キャリア別で考える調剤薬局転職のポイント

調剤薬局転職と言っても、転職する方ごとにキャリアや経験に違いがあり、それぞれに向き不向きがあります。

メリットやデメリット以外にも、自分がどのような調剤薬局に向いていそうかを考えることも転職成功への近道となります。

第二新卒、調剤未経験等、調剤薬局へ初転職の方の場合

第二新卒の方や調剤薬局での仕事が未経験などの、調剤薬局の薬剤師としての経験が浅い方の場合、まずは一般的な調剤薬局の仕事を一通りこなせるようになることが重要です。

そのため、研修や教育体制が充実している調剤薬局がおすすめです。

特に大手調剤チェーンの場合だと、第二新卒あたりならば内定を得やすい上に研修体制が充実しています。

バーコード読み取りでのピッキング等が多いため、調剤に慣れていくにはやりやすい環境で不慣れ故のミスを防ぎやすいです。

高齢の調剤未経験の方だと大手は内定獲得しづらいかもしれないので、教育環境が整った中小規模を選ぶのも有効です。

ある程度調剤薬局でのキャリアを積んだ方の場合

経験がある分、「◯◯の仕事は特に避けたい」「◯◯の科目はまだ経験が浅いので勉強したい」「もっとこういう働き方がしたい」「もっと年収を上げたい」という方向性がしっかりされている方が多いと思います。

自分の働き方で何を一番優先するのかを考え、優先順位に合った転職先を探すのが成功につながります。

具体的な例を挙げると、「年収を上げたい!在宅医療の業務や夜間対応もできる」という方は、地域支援体制加算をとれる薬局を探しましょう。

在宅医療をやっている薬局は加算もよくとれるので年収が高めの場合もあります。

逆に、「年収上げたいけれど、在宅医療の仕事はちょっと避けたい・・・」という方は、それなりに処方箋枚数が多くて忙しい薬局だと該当しやすくなります。

他にも、「もう年収そんなに高くなくていいから、仕事の負担少ないところがいい・・・」という方には、年収にこだわらないのであれば営業時間が比較的早く終わる薬局や在宅医療の取り扱いのない薬局など、自分の希望に沿った仕事探しが可能です。

100%自分の希望を叶える環境は残念ながらありませんが、何が譲れないことなのか、何なら妥協できるのかをハッキリしておくのが良い転職へつながるかと思います。

ベテラン薬剤師の方の場合

ベテラン薬剤師の方になると必然的に年齢の壁が内定獲得のネックになってしまうケースもありますが、極端に転職が難しくなるわけではありません。

大手調剤チェーンだと若手よりも採用されにくいですが、中小規模の薬局は年齢よりも即戦力として仕事ができそうかを重視するところも少なくないです。

都心部でも管理薬剤師の経験者や一人薬剤師の募集が結構あるので、そういった求人だと狙いやすいかもしれません。

正社員に拘らなければ、派遣で働くのも良い選択だと思います。

派遣薬剤師は即戦力が重視されているためです。

最近では、「フリーランス薬剤師」として調剤薬局で働くという新しい働き方もあります。

派遣薬剤師とは違い、自ら直接調剤薬局と契約を結ぶため、会計や税務なども自分で行わなければならないのですが、個人の裁量で仕事を決めることができるのが魅力です。

フリーランス薬剤師向けの仲介業者もあるため、管理薬剤師の経験があり、なおかつ自分で条件交渉ができる方は挑戦してみてもいいかもしれません。

まとめ

調剤薬局にも大手調剤チェーンや中小規模といった企業の違いがあり、共通する業務内容はあっても働き方や業務上のルールが異なります。

メリットやデメリット、それ以外にも調剤薬局における注意点を把握した上で、自分にとってどんな条件が一番大事で何が妥協できそうかを考えることが転職成功のコツとなります。

また、自分の経験やキャリアからどんな転職先が適しているかを考えることも、転職したときの状況を想像しやすいため、より具体的に向き不向きが判断しやすくなるかと思います。

監修者

上場・ベンチャー・中堅企業で様々な役割を経験。今なお、採用・人事の業務を最前線で経験し、「いま」の「生きた」知見を発信しています。