懲戒解雇は転職に不利!バレる原因と転職成功のコツを人事が解説

懲戒解雇は転職時にバレるの?なぜ分かるのか原因を知りたい

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懲戒解雇されて転職するときに

「懲戒解雇は転職時にバレるの?なぜ分かるのか原因を知りたい」

「転職時に懲戒解雇を隠すことできるの?」

「懲戒解雇されたことは転職エージェントに伝えるべきなの?」

と悩んでいませんか?

筆者は約10年ほど人事で採用担当者を経験し、懲戒解雇歴のある方の面接を経験してきました。

その経験からお伝えすると懲戒解雇をされると転職活動では不利になります。

懲戒解雇は重い処分であり、履歴書の賞罰欄に「懲戒解雇歴あり」と記載しないといけないことになっているためです。

ただし、馬鹿正直に賞罰歴を書いても不採用になるだけのため、あえて記載しないという方も多いです。

筆者の体感としては正直に書いてくる人は少ないです。

また、採用側にも懲戒解雇歴があることを見抜けなかったという落ち度があるため事業と関連性のない懲戒解雇歴や前科などは採用後に発覚しても見逃すこともあります。

この記事を読めば、懲戒解雇歴のある方がどのようにすれば転職できるのかについて理解することができます。

懲戒解雇後の転職活動について気になっている方はぜひ、最後までご覧ください。

この記事のポイント

  • 懲戒解雇は転職活動時不利になるので、面接官に聞かれなければ面接で伝える必要はない
  • 一刻も早く次の職場を見つけたいならindeedなどの転職サイトだけではなく、面接対策や非公開求人を紹介してくれるマイナビジョブ20’sなどの転職エージェンに登録したほうが効率が良い
  • 懲戒解雇歴を隠すことは経歴詐称にはなるが殺人などの重罪でなければ解雇にならないケースが大半

懲戒解雇は転職活動時不利になりやすい

懲戒解雇は人事の世界では「前科一犯」だと認識されています。

なぜなら日本においては労働者が強く守られており、企業側が懲戒解雇を決行することは難しいためです。

無断欠勤を半年続けても容易には懲戒解雇することはできませんし、仮に犯罪をしても軽犯罪なら懲戒解雇することは難しいです。

つまり、よほどひどいことをしなければ懲戒解雇にはならないということです。

そのため、懲戒解雇になるほどのことをした人が転職活動で不利にならないはずがありません。

事例から分かる懲戒解雇の難しさ

筆者は懲戒解雇決議を発動したことがありますが、社員が飲酒運転の上に人をひき逃げして逮捕・起訴されたというケースを覚えています。

飲酒運転だけでも悪いことですが、

「人を車ではねて逃げているため執行猶予はついても実刑判決は免れないだろう」

という意見を顧問弁護士に聞いた上で懲戒解雇にしました。

このように、懲戒解雇とは警察に逮捕された上に、検察に起訴されて前科がつくレベルのことをして初めて行われるようなレベルのものということです。

ちなみに仮に警察に逮捕・拘留された経験があったとしても検察に起訴されて前科がついていない場合は前科とは言いません。

正式に裁判所で裁判を受けたことがない場合には前科ではなく、ただの注意です。

人に言う必要は一切ありません。

仮に起訴されて有罪判決を受けてもいないのに逮捕されただけで、

「犯罪者だ」と言われ指摘された場合、嘘の事実を指摘されているため、反対に名誉棄損で訴訟することが可能です。

ところで「懲戒解雇歴って面接官は知ることができるの?」と気になりませんか。

次は、懲戒解雇歴を面接官が知る瞬間について解説します。

懲戒解雇は転職先でバレるのか?

結論から言えば懲戒解雇が転職先でバレることはあります。

なぜなら、雇用保険制度があるためです。

雇用保険は失業理由がはっきりと記載されるため、見られてしまうと懲戒解雇歴がバレます。

具体的には、以下のケースでバレることになります。

  • バレる理由1:雇用保険被保険者証
  • バレる理由2:前職からのタレコミ
  • バレる理由3:退職証明書からバレる
  • バレる理由4:自分で話してしまう

それぞれについて解説します。

バレる理由1:雇用保険被保険者証

転職先で正社員として入社する際には雇用保険の被保険者証が必要となります。

雇用保険の被保険者証は、1人につき1個しかありません。

そのため再度違う会社で雇用保険に加入する際には人事担当者がハローワークで加入手続きを取ることになります。

雇用保険の手続きの際に「本当にこの人の雇用保険番号は正しいのか」といった確認を職員からしてもらえることがあります。

その時、過去履歴を見せてもらえるケースがあるため、懲戒解雇された履歴があれば分かってしまうことがあります。

手続きがスムーズにいった場合には履歴照会までのことはしません。

もしも手続きが少しでも滞れば懲戒歴が分かる可能性があるということです。

バレる理由2:前職からのタレコミ

前職からのタレコミで懲戒解雇歴がバレるということがあります。

そして意外かもしれませんが、タレコミで懲戒解雇がバレるケースはかなりあります。

個人情報保護法があるため、基本的に面接官自身が前職に問い合わせをすることはありません。

しかし、人の口には戸が立てられないのです。

タレコミで発覚するケースが8割です。

前職でよほど大きな恨みを買っていたのかも知れません。

タレコミの情報精度にもよりますが、懲戒解雇歴を聞いて採用するかどうかの判断をするのは転職先の面接官ですから、どんな判断をするのかは会社の風土によります。

もしも前職からのタレコミが発覚した場合には前職に対して民事で損害賠償請求をすることがおすすめです。

個人情報保護法違反となるだけではなく、明らかに転職希望者の人生に悪影響を及ぼす告知をしていると考えられるためです。

バレる理由3:退職証明書からバレる

懲戒解雇歴がバレるパターンとして、転職希望先の企業が前職の退職証明書を要求するというパターンがあります。

前職の退職証明書にはなぜ会社を退職したのかが記載されています。

前職の退職証明書に仮に「横領のため懲戒解雇」など不利になることが書かれていると一発で判明してしまいます。

ただし、個人情報に近い性質を持っている退職証明書を求める企業は減っています。

筆者が在籍した企業では前職の退職証明書を要求することはコンプライアンス上好ましくないということで廃止されていました。

バレる理由4:自分で話してしまう

自分で懲戒解雇歴を話してしまう人が2割ほどはいます。

隠し通せば分からなかったケースにもかかわらず、後ろめたさから話してしまい面接官にバレてしまいます。

ちなみに面接の場では自分が不利になることは話さなくても問題ありません。

面接官が懲戒解雇歴について触れてこなければ、特に自分から話さなくて問題ありません。

懲戒解雇がバレる可能性がありそうだと「人生終わりかも・・・」と感じる人もいるでしょう。

次では、懲戒解雇歴のある人が転職成功する方法について解説します。

懲戒解雇歴があっても転職が成功する方法

実は懲戒解雇歴があったとしても、転職が成功する可能性はあります。

具体的には、以下の方法があります。

  • ポイント1:懲戒解雇理由と関連性の低い企業を選ぶ
  • ポイント2:転職エージェントにも原則として告げる必要性はあまりない
  • ポイント3:採用に不利になることを面接で伝える必要性はない

それぞれについて解説します。

ポイント1:懲戒解雇理由と関連性の低い企業を選ぶ

懲戒解雇理由と関連性の低い企業を選びましょう。

そうすることで仮に面接官にバレたとしても採用される可能性があるためです。

例えば飲酒運転をした人が自動車メーカーに行くのはアウトです。

同様に酒に酔って人を殴ったりして起訴された人が警備会社や酒造メーカーに行くのもおすすめできません。

ポイント2:転職エージェントにも原則として告げる必要性はあまりない

自分自身の前職での懲罰歴について、転職エージェントにも原則として告げる必要性はありません。

基本的に告げるとサービスを受けられない可能性があるためです。

ただし、転職エージェントへの登録時に賞罰歴について聞かれた場合には答える必要性があります。

聞かれていないことを伝える必要性はありません。

ポイント3:採用に不利になることを面接で伝える必要性はない

「さすがに面接では懲戒解雇歴を伝えないのはダメなのでは」と思われるかも知れません。

しかし、正直に告げると面接で不採用になるリスクは高まります。

聞かれたら答えるというスタンスで臨むようにしましょう。

次は転職後に懲戒解雇がバレたときに起こることを解説します。

転職後に懲戒解雇がバレたらどうなる?人事が解説

転職後に懲戒解雇がバレても即座に解雇されることはありません。

懲戒解雇の有無が解雇理由に該当するかは別の問題となっているためです。

社員を解雇することは日本の労働基準法では非常に難しいです。

また仮に刑法上の犯罪歴があったとしてもすでに罪を償っているため、それだけを取り立てて解雇に持っていくのは不可能に近いです。

懲戒解雇歴を隠すことは経歴詐称にはなるが重罪でなければ問題なし

以上のことから推察されると思いますが、現状では懲戒解雇歴を隠してしまうと経歴詐称にはなります。

ですが、重罪かつ事業と関連性がなければ解雇にはならないケースが大半でしょう。

(※殺人や暴力団員の場合は大きな問題にはなることもあります。)

上述したとおり会社が社員を解雇することは事業に対して致命的なものでなければ無理に親しいためです。

マルヤタクシー事件においては前科を隠して入社したタクシードライバーに対しての解雇が無効だったという事例があります。

参考:マルヤタクシー事件|労働法ナビ

職種や労働契約の内容と、前科の関連性が薄いということで解雇無効になっています。

また、刑務所で刑期を終えてすでに償った罪をわざわざ告知する必要もないという判断まで裁判所が示しています。

罪は刑務所に入って償えば当然に消滅します。

「懲戒解雇に納得がいかないのだけれど、どうすればいいの」と気になりませんか。

次は、懲戒解雇に不服がある場合の対処法について解説します。

懲戒解雇の経歴を取り消したい場合は弁護士に相談がおすすめ

懲戒解雇の経歴を取り消したい場合には弁護士に「懲戒解雇の取り消し」を相談してみましょう。

これまでお伝えしたとおり、日本に置いては企業が簡単に解雇することはできないためです。

そのため弁護士から交渉してもらうことで懲戒解雇が無効になる可能性があります。

会社により懲戒解雇の基準は異なりますが、重すぎる処分には違法性があります。

例えば、プライベート上の社員の犯した犯罪では懲戒解雇は難しいです。

他にも

  • 通勤途中に痴漢冤罪で逮捕された
  • 酒に酔って人を殴って逮捕された

など、警察に逮捕されたのみで起訴されていないというケースで懲戒解雇は重すぎます。

弁護士に相談し、会社に懲戒解雇ではなく自己都合退職にしてもらえないか等を交渉してもらうようにしましょう。

まとめ

今回は、懲戒解雇と転職について解説しました。

懲戒解雇されたからといってすでに罪を償っている場合には無理に伝える必要性はありません。

特に本文中でも解説しましたが、事業と関連性の薄い前科で懲戒解雇になっている場合には転職後発覚しても解雇することは難しいです。

懲戒解雇されたからといって過度に気負わず、二度と犯罪や懲戒事由に当たることを行わないようにすれば問題ありません。

気にせず転職活動をしましょう。

監修者

上場・ベンチャー・中堅企業で様々な役割を経験。今なお、採用・人事の業務を最前線で経験し、「いま」の「生きた」知見を発信しています。