入社承諾書を法律・憲法でリスクを正しく理解!安心して承諾するための全知識

入社承諾書を法律・憲法でリスクを正しく理解!安心して承諾するための全知識

この記事は有料職業紹介事業として厚生労働大臣の許可を受けている株式会社しごとウェブ(許可番号:13-ユ-306679)が制作しています。

「入社承諾書を出したら絶対に企業に入社しないといけないのかな」
「入社承諾書ってどんな法的な拘束力があるのだろうか。正直、他に本命の企業がある」

入社承諾書については、様々な議論がありますが、人事的にはただの紙切れです。

入社承諾書を出したら絶対に企業に入社しないといけないのかな

不安になるかもしれませんが、大丈夫です。

内定辞退でトラブルになった人は4,000人中1人もいません。

学生と揉めると社会問題に発展しかねないため、普通は内定辞退で学生を訴えたりはしません。

労働トラブルは、会社の恥を世間に晒すことになるためです。

企業が採用活動をしていれば内定辞退そのものは、まったく珍しいことではありません。

私はこれまで約10年間、人事の仕事を経験してきました。

今回は、入社承諾書のリスクと法的な拘束力について徹底解説させていただきます。

入社承諾書とは「ただの紙切れ」。効力は「ない!」

入社承諾書には法的な拘束力は一切ありません。

理由としては、日本国憲法22条第一項により、日本は憲法で職業選択の自由が保障されているためです。

入社承諾書を出したからといって必ず企業に入社する必要は一切ありません。

出典:Wikipedia 「内定辞退」

出典:wikipedea「職業選択の自由」

参考法律:憲法22条一項

法律から解説!万が一の辞退も本人・保証人もリスクはない!安心して送ろう

労働基準法上、企業は内定取り消しを行うことができませんが、学生が入社辞退を行うことは違法ではありません。

労働契約法第5条では、強制労働を禁止していますし、企業が内定を出して、本人が入社したいという意思表示を行わない限りは、労働契約は成立しません。

また、労働契約が成立しても、民法627条一項により、本人が入社日の2週間前までに内定辞退の意思表示をすれば入社する必要性はありません。

入社承諾書を出したあとに、本人が内定辞退をしても保証人にも本人にもリスクはありません。

企業が内定取り消しを行うことはできませんが、学生が内定辞退をすることは合法です。

出典:Wikipedia「労働契約法」

出典:Wikipedia 「内定辞退」

参考法律:民法627条一項、労働契約法5条一項

保証人は親が一般的。2等身の身内になってもらう

内定承諾書の保証人は一般的には親御さんになってもらうことになります。

もしも親御さんがいらっしゃらない場合は、2等身以内の親戚の方に保証人になってもらえば問題ありません。

出来るだけ親御さんが保証人になることが望ましいといえます。

ここまでは、内定承諾書に法的な拘束力がほとんどないことをお伝えいたしました。

次では、内定辞退をしたら実際にどんな風に人事が対応するのかについて解説します。

内定辞退を円満に済ませたい!100人以上の辞退を対処した人事が教えるコツ

内定辞退を円満に済ませるためのコツとして、まずは電話をするようにしましょう。

内定辞退をメールで済ませてしまうと、どうしても印象が悪くなります。

単純に人事部に電話をかけて、内定辞退をしたいと一言伝えるだけで問題ありません。

電話の場合は、人事部宛に電話をかけるようにしてください。

採用担当者でも、人事部の代表者でも問題ありませんので、申し訳ございませんが、今回は辞退させていただきますとだけシンプルに伝えるようにしてください。

具体的な会話例を紹介していきます。

内定辞退の会話例

学生「お世話になっております。○○大学の○○と申します。人事部長の○○様はいらっしゃいませんか。」

人事「人事部長の○○です。どうされましたか」

学生「非常に心苦しいのですが、今回は内定辞退をしたいと考えております。」

人事「そうですか。わかりました。他社でのご活躍をお祈りしております。」

コラム:内定者で辞退するのは10%くらい

内定者で辞退するのはだいたい10%くらいです。

好景気時になるともっと内定辞退は増える傾向にありますが、平均して10%くらいが内定辞退をする計算になります。

大手企業に関しては内定辞退を見越して多めに内定枠を確保しているため、多少、辞退されても問題ない計算で新卒を採用しています。

内定辞退をしてもトラブルに発展することはまずない

人事経験10年、内定者4,000人の経験としてトラブルはありませんでした。

他社の人事と話をしていても、内定辞退でトラブルになるということはまずあり得ません。

但し、入社日まで2週間以内になってから内定辞退を伝えるのだけはやめてください。

入社式の準備でお弁当の発注から、名刺、名札、健康保険証の発行を入社日2週間前には開始しています。

ギリギリで内定辞退の連絡をすることは避けるようにしてくださいね。

ここからは内定辞退の具体的な連絡方法について解説します。

入社承諾書を失敗せず楽に簡単に送る手順

入社承諾書を書くにあたっては、いくつか簡単なマナーがあります。

読み手のことを考えれば難しいことではありません。

  • 提出日の日付は書いた日にする
  • 西暦和暦は統一する
  • 住所は略さない
  • 用紙サイズに合わせた封筒を選ぶ
  • 添え状は忘れない
  • 切手料金は正規の金額を貼る

それぞれについて解説します。

入社承諾書の書き方

入社承諾書を失敗せずに楽に簡単に送るには、以下のように書く必要があります。

  • 提出日の日付
  • 西暦和暦の統一
  • 住所の書き方

それぞれについて解説させていただきます。

日付は提出日を書く

日付については提出日を記載するようにしてください。

内定承諾書を提出するその日の日付にしてくださいね。

いつ書かれたものかわからないと、受け取る側も混乱します。

西暦・和暦は統一されていればOK

西暦・和暦については統一されていればOKです。

西暦と和暦が混じってしまうと、見た目の整わない書類に感じてしまいます。

必ず統一するようにしてください。

住所は略してOK?マンション名・番地・郵便番号の書き方

住所はできるだけ省略しないようにしてください。

例えば京都などは非常に複雑な住所であることが多いですが、すべて記載するようにしてください。

内定承諾書の住所を見て社会保険の書類を作成することもあるためです。

用紙サイズに合わせた封筒・クリアファイルを用意する

用紙サイズに合わせた封筒・クリアファイルを用意するようにしてください。

出来るだけ折り目をつけないように角型2号を使うようにしましょう。

クリアファイルはA4のもので、キャラクターなどの入っていない透明なクリアファイルにしましょう。

封筒に宛名と「内定承諾書在中」、差出人を書く

封筒に宛名と、「内定承諾書在中」、差出人の氏名を必ず記載するようにしてください。

特に「内定承諾書在中」は朱書きすると良いです。

会社に書類が届いた際、うっかり人事部以外に書類がいかないようにするためです。

添え状は必須!コピペで使える添え状の例文

添え状に関しては、必ず添付するようにしてください。

そのままコピペで使っても問題ありません。

添え状の例文を紹介いたします。

添え状の例文

平成○○年〇月〇日

○○株式会社
管理本部 人事部 部長 ○○○○様

拝啓

時下、貴社におかれましてはますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
内定通知書を送付いただきましてありがとうございました。
つきましては、内定承諾書をお送り致しますのでよろしくご査収願います。

貴社に内定をいただくことができ、大変うれしく思っております。
入社後に一生懸命仕事をし、活躍したいと考えております。

敬具

・内定承諾書 1通

○○大学○○学部4回生
○○○○

以上

入れ方は「添え状・内定承諾書・その他資料」の順で入れる

入れ方は添え状・内定承諾書・その他資料の順番で入れるようにしましょう。

受け取る人事側は、添え状を最初に読んでから、内定承諾書を確認し、最後に他の添付資料を読むためです。

切手は140円。書類が多く不安なら郵便局で計算してもらおう

内定承諾書を送付する場合、切手は140円で送付するようにしてください。

仮に不足していても会社が着払いするので心配はありませんが、心配な場合は郵便局の受付で重さを測って送付してもらうようにしてください。

入社承諾書送付後にメールは不要

入社承諾書の送付後にメールをする必要はありません。

但し、確実に到着したかを確認するために、念には念を入れて、書留で送付すると良いです。

到着したか不安になってしまう心配がなくなります。

心配性な方ほど、書留で郵便物を送付することをおすすめいたします。

まとめ

入社承諾書には法的な拘束力は一切ありませんし、保証人に責任が及ぶこともありません。

あくまでも入社承諾書はただの意思確認のための書類です。

内定承諾書を出してから、内定を辞退する場合には、入社する2週間前に行っておくとよいといえます。

内定辞退をしても、ほとんどトラブルが起こることはありません。

むしろ不本意な会社に入社して、あとですぐに退職するほうが人生に悪影響となります。

入社承諾書には添え状を必ず添付するようにしてください。

また、封筒・クリアファイルはシンプルなものを使うようにしてください。

内定承諾書は、すでに内定を手に入れたあとに提出する書類なので、履歴書のように過度に気を使って提出する必要はありません。

本当に自分が入社したい会社に入社するために内定辞退をすることは、一般的におこなわれていることなので、過度に会社に気を使わず、自分の行きたい会社に内定をとるようにしてください。

監修者

上場・ベンチャー・中堅企業で様々な役割を経験。今なお、採用・人事の業務を最前線で経験し、「いま」の「生きた」知見を発信しています。