資格で転職やキャリアアップを考えている人は
「資格は転職に有利になるの?」
「転職に有利なおすすめの資格を知りたい」
「スキルがついたり給料が上がって取得しやすい資格を教えて」
と気になりませんか?
筆者は約10年間、採用担当者をした経験があります。
そのため資格を取得した転職希望者の書類選考や面接を1,000人以上行っています。
その経験からお伝えすると資格があるから転職が大きく有利になることは少ないです。
なぜなら大半の資格が名称独占資格であり、資格がなくてもできる仕事が多いためです。
無意味な資格を取得するくらいであれば少しでも若く今、転職活動をするほうが有利でしょう。
ただし、弁護士などの資格がないとできない資格や簿記2級など保有しているだけで評価が高くなる資格も一部存在しているのは事実です。
この記事では、どのような資格が転職や待遇に有利となるかも紹介していきます。
資格取得の時間を無駄にしたくない方は必ず一読してくださいね。
【面接官が答える】転職に資格は必要?実は有利に働く職種は一部
転職で有利になるために資格取得を検討していませんか?
残念ながら資格取得で転職が劇的に有利に働くことはありません。
筆者は実際に10年、採用担当をしてきましたが資格は参考程度でしかありませんでした。
同様に他の採用担当者もそうです。
資格が有利に働く職種は本当にごく一部の特殊な仕事のみです。
なぜなら資格がないとできない仕事はほとんど存在しないためです。
例えば社会保険労務士という業務独占資格(国家資格)があります。
この資格がないと社会保険の資格取得(健康保険証発行業務など)ができません。
このような資格は独占資格といいます。
ただし社労士資格を持っていない人が社会保険業務の仕事をすることは違法となりますが、社内に総務部や人事部を設置して社員が社会保険業務を行うことは違法ではありません。
社会保険業務は入社して半年の人事部員・総務部員でもできるレベルの仕事です。
そのため資格があれば越したことがありませんが必須ではないため面接官は資格を参考にはしますが、劇的に内定率は上がりません。
評価点としては10%以下程度です。
それよりも意欲や地頭、コミュニケーション力が重要となります。
そのため資格取得に時間をかけるなら転職活動をしましょう。
若いほど有利です。
また、資格を取得する場合も転職活動しながらにするようにしましょう。
資格を取ると貧乏になるという本がありますが、人事的に、ほぼ100%真実です。
資格商法に騙されるのではなく己の仕事の腕を磨きましょう!
ただし、仕事の中では必須となる資格もあります。
そのような資格について次で解説していきます。
知っておきたい「業務独占資格」と「名称独占資格」
資格には「業務独占資格」と「名称独占資格」があります。
業務独占資格はその業務がないと仕事ができないという資格があります。
代表的なものは弁護士・司法書士・医師・宅建士などの資格です。
参考リンク:業務独占資格 |Wikipedia
その反対に資格がなくても業務ができるもののことを名称独占資格といいます。
もし弁護士や司法書士などの業務独占資格が必要な仕事の場合は資格を取得してからの転職活動がおすすめです。
その資格がないと業務に就かせることができないためです。
一方で名称独占資格を検討している方はこだわらないほうが良いでしょう。
例えばIT系の資格である基本情報技術者試験(国家資格)を持っていても転職では内定に効果的ではありません。
やはり参考程度です。
資格の有無と現場での開発力は別物です。
もしITエンジニアになりたい方は資格の取得よりも実務力を身に着けましょう。
「じゃあ、資格なんてすべて無駄なの」と気になりませんか。
次は、採用担当者が教える転職で有利なおすすめ資格について解説します。
採用担当者が教える転職で有利なおすすめ資格
これまで名称独占資格は参考程度にならないとお伝えしてきましたが、企業によっては資格を重視することもあります。
筆者はこれまで主にメーカーで採用活動を行ってきましたが、不動産業界から医療機関、建設業界まで幅広く人事担当者交流会などでどんな資格があると採用されやすいのかの情報を得てきました。
業界と職種ごとに評価の高い資格はあります。
具体的には、以下の資格がおすすめです。
- メーカーならフォークリフト
- 不動産業界なら宅建
- 医療業界なら介護士
- 建設業界なら玉掛・リフト
- 総務は衛生管理者
- 経理は簿記2級または税理士
- 人事は社会保険労務士
- 法務はビジネス法務3級
- 設備系なら電験三種
- 地方就職に強い医療事務
- 30代・40代・中高年の方は介護職員初任者
それぞれについて解説します。
メーカーならフォークリフト
メーカーなら迷わずフォークリフトの資格を取得しておきましょう。
フォークリフトがあれば工場内での移動が楽になるだけではなく、重い荷物を保管する仕事なども採用されやすくなるためです。
筆者もフォークリフトの免許を取得していますが、工場の敷地が広すぎるため事務方なのにフォークリフトに乗って工場内を移動していました。
特に工場での仕事をしようと思っている方は事務方・現場問わずに確実に重宝される資格です。
不動産業界なら宅建
不動産業界なら宅建の資格を取得しておきましょう。
不動産業界で物件の契約時や売買成立時には必ず宅建の資格を持った人が売買を行う人との間に立つ必要性があるためです。
持っていれば営業の仕事に就いた場合でも発言に説得力が出るなど大きなメリットがあります。
企業によっては宅建の取得をマストとしている企業もあります。
医療業界なら介護士
医療業界なら介護士の資格を取得しておきましょう。
介護士は慢性的に人手不足であり、資格を持っているだけで一気に内定する確率が高くなるためです。
また、資格を持っているだけで手当てが出る会社もあり、収入アップを見込むこともできます。
建設業界なら玉掛・リフト
建設業界なら玉掛・リフトの免許は取得しておきましょう。
玉掛はクレーンなどの大型の重機に荷物を引っかけて動かす作業ができるようになります。
また、リフトを持っていれば重量物の運搬の仕事も同時に行えるため重宝されます。
特に建設業界では資格を持って仕事をしている人が主導的な立場になることもあり、入社前から玉掛とリフトを持っていることで志望度が高いと判定されやすくなります。
総務は衛生管理者
総務は衛生管理者の資格を取得しておきましょう。
衛生管理者の資格は実は取得するのが難しく、50名規模以上の会社であれば必ず1人設置する必要性があるためです。
筆者も総務人事を経験したことがありましたが、ほとんどの会社では総務の社員に衛生管理者を取得してもらいます。
総務を希望する場合には入社前に資格取得することをおすすめします。
経理は簿記2級または税理士
経理志望者は絶対に簿記2級を取得しておきましょう。
必ず業務をしている中で簿記2級の知識がないと仕事に詰まる場面が出てくるためです。
筆者も給与計算業務などで仕分けを切る関係で簿記3級程度の知識は持っていますが、経理業務はさらに複雑な原価計算などを行う必要性があります。
また、税理士の資格も有効です。
税理士の資格を持っておくことで財務の仕事なども早く任せてもらえるなど大きなメリットがありますね。
採用担当者が教える転職で有利なおすすめ資格
- メーカーならフォークリフト
- 不動産業界なら宅建
- 医療業界なら介護士
- 建設業界なら玉掛・リフト
- 総務は衛生管理者
- 経理は簿記2級または税理士
人事は社会保険労務士
人事にもしも未経験で転職したいという場合には、社会保険労務士の資格を取得するようにしましょう。
人事部門は経験を重視するため未経験者を採用することは、ほとんどありませんが社労士の資格を持っていると
「とりあえず社会保険は教えなくてもいいのかな」と採用されやすくなるためです。
ちなみに人事部で重要な仕事は社会保険や給与計算などのレベルの低い仕事ではなく、社員のモチベーションをアップさせるなどの制度運用です。
法務はビジネス法務3級
法務をやりたいという方は、ビジネス法務3級を勉強するようにしましょう。
法律の基礎が理解できるため法務に転職しやすくなります。
法律の勉強は難しく法務部には法学部出身者がいることが多くなります。
法学部出身者に負けないためにまずは基礎知識を持つようにしましょう。
設備系なら電験三種
ビルメンテナンスなどの設備系なら電験三種取得は転職活動において非常に有利になります。
電験三種を持っていないとできない仕事や入ってはいけない仕事場があるためです。
電気はうっかり扱いを間違えると人が死亡する危険性があるものです。
電験三種を持っていれば比較的好待遇で転職できる可能性があります。
地方就職に強い医療事務
地方就職に強いのは医療事務の資格です。
医療事務の仕事は病院経営では非常に重要なためです。
医療事務の仕事は主に病院で患者さんの支払うべきお金と医療保険から補填される分の計算などを行うことです。
非常に複雑な医療行為ごとの点数計算などを行うなど特殊な事務であり、全国に病院があることからどこにいっても仕事を探せるというメリットがあります。
30代・40代・中高年の方は介護職員初任者
30代・40代・中高年の方は介護職員初任者という資格を取ることがおすすめです。
資格を取得することで介護施設に採用されやすくなります。
3か月程度で資格取得が可能です。
介護職員初任者研修の資格をまず取得してから現場で実務経験を3年程度積み、介護士の資格を取得することでキャリアアップすることが可能です。
採用担当者が教える転職で有利なおすすめ資格
- 人事は社会保険労務士
- 法務はビジネス法務3級
- 設備系なら電験三種
- 地方就職に強い医療事務
- 30代・40代・中高年の方は介護職員初任者
IT系の資格は転職に役立たない。資格を取得するなら国家資格がおすすめ
IT系の資格は就職には役立ちますが転職には役に立ちません。
IT系は実務力重視のため資格よりも実績が評価されるためです。
どうしても取得されたい方は国家資格である基本情報技術者試験からはじめてみましょう。
IT技術の理論面や個人情報の取り扱い、セキュリティなどの基礎知識を有している認識されるでしょう。
OracleやSunなどのベンダー試験は取得してもバージョンが古くなったり資格の期限があるなどで再取得が必要になってくるためおすすめできません。
IT系の資格については下記のサイトで詳しくまとめられています。
参考:SE転職で面接官もおすすめの資格を紹介!転職を有利にする資格とは?|IT業界の歩き方
資格なしでも転職は可能
筆者は採用担当を10年してきましたが資格なしでも転職は可能です。
資格の勉強ばかりしていて実務が疎かになっている人材を採用担当者は評価しません。
さらに実務と無関係な資格を履歴書に掲載されているとそれだけで筆者なら採用選考から落とします。
実務とまったく無関係な資格のアピールを見ると「この人は他者への配慮ができる人なのかな?」と疑問に感じるためです。
そのため転職が目的であれば資格の勉強よりも実務のスキルを高めましょう。
もし「どんなスキルが必要なの?どれくらいのスキルがあればいいの?」と気になる方は転職エージェントに登録して相談することがおすすめです。
転職エージェントに相談すれば「今のスキル・経験にどんなスキルが身につくと年収があがるのか?」などのアドバイスをもらえます。
無料で利用できるため転職を検討している方はすぐに相談をしましょう。
ちなみに、おすすめの転職エージェントはマイナビエージェントです。
マイナビエージェントは大手マイナビの傘下であり、資格なしでも応募できる求人を大量に保有しています。
まとめ
日本の転職において資格が有利なることはあまりなく、評価点は10%程度にとどまります。
資格を取るよりも実務経験を積むために働く方が重要です。
資格には「業務独占資格」と「名称独占資格」があり、業務独占資格でない資格にこだわることは避けましょう。
社会保険労務士のように資格をとってもあまり優遇されない資格もあります。
どうしても資格を取得する場合には、有利になる業界と職種を選ぶようにしましょう。
- メーカーならフォークリフト
- 不動産業界なら宅建
- 医療業界なら介護士
- 建設業界なら玉掛・リフト
- 総務は衛生管理者
- 経理は簿記2級または税理士
- 人事は社会保険労務士
- 法務はビジネス法務3級
- 設備系なら電験三種
- 地方就職に強い医療事務
- 30代・40代・中高年の方は介護職員初任者
資格なしでも転職は可能なため、資格取得の勉強をしている時間があればできれば転職活動を優先させましょう。