退職勧奨 とは?よくある退職勧奨の方法と対処法の全てを元人事が全解説

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退職勧奨を受けている方は

「退職勧奨とはなに?」

「会社に退職を求められている・・・。これは退職勧奨になるのかな?」

「退職勧奨を受けたらどう対応することが良いの?」

と悩みがありませんか?

私は約10年間、人事を経験し退職に関わる問題にかかわってきました。

その経験からお伝えすると社員が自分のタイミングで本心から「会社を退職したい」と言わない限りは企業はほぼ辞めさせることはできません。

社員の自発的な退職を除いて退職の勧奨は全て退職勧奨であり、違法行為です。

社員は会社をいつでも自由に辞める権利がありますが、会社側から「社員に辞めろ」「辞めて欲しい」「クビ」と言うことはできません。

この記事を読めば、退職勧奨とは何かについて理解することができ退職勧奨をはねのけることができます

「会社に辞めろ」と言われてしまったと不安になっているあなたは、必ず一読することをおすすめします。

退職勧奨とは?わかりやすく解説

退職勧奨とは、会社側が労働者に対して自主的な退職を促す行為のことを指します。

ですが退職を促す行為の90%以上が違法です。

日本では正社員を解雇するためには非常に高いハードルがあり、裁判で解雇された従業員が訴えを起こした場合、ほぼ100%に近い確率で企業側が敗訴することになります。

厚生労働省の解雇をめぐる制度についてでも、労働者側弁護士の主張によると解雇無効となったのはわずか8.3%となっています。

参考:解雇をめぐる制度について|厚生労働省

筆者も人事として約10年間、解雇などの対応をしてきましたが

  • 企業側が金銭を払わなくてはならないケース
  • 復職を認めなければならないケース

など経営者側が負けるようなケースがほぼ100%でした。

法律問題などに発展すると経営者よりも労働者の方が実は立場が強いのです。

経営者には保護制度など一切ありませんが、労働者には手厚い保護があります。

そのため、解雇にならないように社員に対して自主的な退職のお願いを取ることが一般的です。

会社側には、以下の狙いがあります。

  • 会社側の狙いは自己都合退職にすること
  • 労働基準法上、社員を解雇することは不可能

それぞれについて解説します。

会社側の狙いは自己都合退職にすること

会社側の狙いは会社都合退職を回避して自己都合退職で社員に辞めてもらうことです。

会社都合退職となると、労働基準法・労働契約法違反となり1,000万円近い損害賠償判決を企業は受ける可能性が非常に高いためです。

大手企業の人事の世界(そもそも規模が大きい会社以外に人事はないことが多いですが)では「解雇の一言一千万円」という格言もあり、以下のような判決が出ることも珍しくありません。

事例を紹介しましょう。

パナソニックの子会社が解雇無効の判決を受けて、会社側から3,200万円の損害賠償請求を受けたという事件です。

参考:パナソニック子会社、地位確認訴訟で解雇の男性社員と和解 |毎日新聞

解雇無効の判決を受ける前に会社側が解雇した社員にお金を支払う形で和解をした事件です。

3,200万円で済んでいますが、他にも労災、過重労働や残業未払いなどが絡むと億単位の損害賠償判決を会社側が受けることがあります。

会社側は裁判で負けることが怖いので、出来るだけ自己都合退職に持っていきたいということですね。

労働基準法と労働契約法で社員を解雇することは不可能

労働基準法と労働契約法において、社員を解雇することは不可能となっています。

労働契約法16条では、客観的でかつ合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、労働者を解雇することは認めていません。

参考:労働契約の終了に関するルール|厚生労働省

どれくらい厳しい要件なのかと言えば、道端に歩いている人を100人程度呼び止めて「この解雇は正しいと思いますか」と聞いて99人が「この解雇は正しいです」と言われるほど正しい理由が必要となります。

社会通念上と言いますが仮に社員がプライベートで痴漢や暴力事件を起こして逮捕されても解雇はできません。

筆者も社員の痴漢事件などを起こした社員の対応を人事として経験したことがありますが、痴漢だけで解雇することは難しく、結果的には出向処分で落ち着いたケースがありました。

極端に言えば、殺人などを犯して死刑などに該当しないとなかなか解雇することはできないというレベルです。

普通に勤務しているだけで「ちょっと成果が出ていないなぁ」というレベルの人を解雇することはほぼ不可能です。

また、労働基準法では以下の場合も解雇できません。

  • 労災療養中とその後30日間の間
  • 産前産後休業とその後30日の間
  • 労働基準監督署に違法行為を通告したことに対する報復解雇

参考:労働契約の終了に関するルール|厚生労働省

また、別の法律では労働組合法などの法律もあり、社員を解雇するのに正当な理由というのはほとんど存在していないと考えてよいでしょう。

つまり、社員を解雇することは99%できません。

では「退職勧奨されたらどう対応したら良いの」と気になりませんか。

次は、退職勧奨された場合の対処法について解説します。

退職勧奨されたら退職願・退職届は書かない!同時に戦うか転職するか決めよう!

退職勧奨されたら、絶対に退職願や退職届を書くことは辞めておきましょう。

退職願や退職届を書いてしまうと「自分の意志で退職した」と裁判所に判断されかねないためです。

また、会社と戦うのか転職するのかを決めましょう。

退職勧奨された会社に残るくらいタフな方であれば問題ありませんが、退職勧奨を拒否すれば会社側は強制解雇に出てくる可能性が非常に高いためです。

仮に復職を勝ち取ったとしても、子会社出向や出世コースからは縁遠い場所に飛ばされるのがオチです。

こういうと救いがないようですが、退職勧奨を受けたら早めに転職エージェントや転職サイトに登録して転職活動を始めておきましょう。

では具体的に退職勧奨を受けたらどうすべきか紹介していきます。

退職勧奨を受けた場合は会社都合退職にしてもらおう

退職勧奨を受けた場合は会社都合退職にしてもらうようにしましょう。

会社都合退職を要求することで、法知識のある会社であれば争いを避けてターゲットから外れる可能性もあるためです。

また、会社都合退職であれば失業保険が早く・長くもらえるという大きなメリットがあります。

ゆっくり自分の時間を持ちながら転職活動をする時間を確保することが出来るというメリットがあります。

なお、会社都合退職にしておけば後で裁判などを起こした場合、会社から慰謝料などを受け取れる可能性が非常に高くなります。

退職金の積み増し金額によっては応じた方が良いというケースもある

退職願・退職届と引き換えに退職金を積み増してくるというケースがあります。

会社規模にもよりますが、年収の2年分以上の積み増しがない場合は応じなくて良い金額でしょう。

年齢にもよりますが、正社員雇用とはおおむね65歳の定年まで3億円程度の賃金を支給するという労働契約です。

3億円の債権を一方的に企業が放棄するのが解雇です。そのため2年仕事をしなくても良いお金を一括で支給することが人事を経験してきた上での常識です。

また、年齢にもよりますが、年金受給開始年齢まで退職金で暮らせるか、住宅ローンの返済が終わっているかを考えて判断するようにしましょう。

自分にメリットのない取引を行う必要性はありません。

ところで「これって退職勧奨?」と気になっていませんか。

次は、会社側のよく使う退職勧奨の手段について解説します。

会社側がよく使う退職勧奨の手段

会社側がよく使う退職勧奨の手段として、以下の手段があります。

  • 手段1:個室に呼びだして「実はあなたにしてもらう仕事はもうない」と追い込む
  • 手段2:パワハラなどの恫喝を行う
  • 手段3:社外の人材紹介会社会社などを使って他の会社への再就職をさせる
  • 手段4:リストラ請負人として社労士等を活用

それぞれについて解説します。

手段1:個室に呼びだして「実はあなたにしてもらう仕事はもうない」と追い込む

個室に社員を呼び出して「実はあなたにしてもらう仕事はもうない」と追い込む手段を取る会社がありますが、実はこの時点で退職勧奨ではなく指名解雇となり違法行為になります。

退職勧奨とは、あくまでも従業員に対して自主的な退職を自然な形で行う行為のためです。

会社側が特定の個人を呼びつけて退職を強要する場合には、指名解雇のため、まず裁判で会社側が勝てる見込みは薄いでしょうね。

手段2:パワハラなどの恫喝を行う

パワハラなどの恫喝を行って退職を強要する行為もあります。

その場合、証拠さえ残すことが出来ればパワハラによる被害と退職勧奨による精神的苦痛で会社側に損害賠償請求を起こすことができます。

特に怒鳴りながら退職を迫られたり、仕事が出来ないことなどの言いがかりをつけて執拗に詰問するなどの行為があれば録音を忘れずにするようにしましょう。

ブラック企業に屈する必要はありません。

手段3:社外の人材紹介会社会社などを使って他の会社への再就職をさせる

社外の人材紹介会社などを使って他の会社へ就職させるといった行為もあります。

自社がリストラを行ったとなると世間体が悪いため、人材紹介者に依頼をするというパターンであり、違法行為ではありません。

基本的に断れば終わりなので、相手にしないようにしましょう。

「この理不尽な指名解雇に関して、人事部以外とお話しする気はありません」など、リストラの責任者以外と話をする気はないと伝えるようにしましょう。

手段4:リストラ請負人として社労士等を活用

リストラ請負人として社労士等を活用することもあります。

特にリストラ代行などを謳っている社労士が出てくることもありますが、仮に社労士から直接、退職の話を受けた場合にはレコーダーで会話内容を録音しておきましょう。

弁護士以外が経営者の代理人として社員と退職条件などを話し合うことは非弁行為となり、重い罪に問われる可能性があるためです。

名刺も確保しておき、非弁行為として警察に被害届を提出しましょう。

警察が動かない場合は警察署に告訴状(被害届よりも重い書類です)を提出した上で弁護士会に連絡するなどして、社労士に資格はく奪処分などを申し立てましょう。

産経新聞でも社労士が非弁行為で逮捕されて、書類送検をされています。

参考:弁護士法違反疑いで社会保険労務士を書類送検 滋賀県警

なお、仮に弁護士が退職代行の仕事をしていたとしても怖がる必要性はありません。

基本的に労働者側に労働基準法は有利に作られており、経営者側に弁護士がついたところで労働者側が勝訴する確率の方が圧倒的に高いためです。

退職勧奨は違法?

退職勧奨は違法行為です。

労働基準法は社員の自主的な退職以外の退職をあまり想定していないためです。

会社側が希望退職を募って自主的に辞める選択肢を労働者側がとるのならまだ合法な部分もありますが、特定の部署の人だけ辞めさせたり、個人を狙い撃ちで退職させる行為は解雇となります。

本人が納得してない状態で退職を強要する行為は、絶対に許されていません。

会社と戦え!弁護士費用を節約しつつブラック企業の退職勧奨を違法行為として叩き潰すための方法3選

会社と戦う場合には、弁護士費用を節約するためにも証拠を自分で記録しておきましょう。

弁護士に依頼する際に、証拠があれば着手金が大幅に安くなるためです。

通常40万円かかるところが半額になるケースもあります。

弁護士に依頼しても証言を取るなどの作業をしてくれることもありますが、非常に手間がかかるのでお金がかかります。

自分でやっておけば弁護士費用の節約になります。

具体的には、以下の方法です。

  • 方法1:個別面談時にボイスレコーダーで録音をとる
  • 方法2:面談を何度も引き延ばして3回以上の回数を重ねる
  • 方法3:退職勧奨を徹底的に拒め!

それぞれについて解説します。

方法1:個別面談時にボイスレコーダーで録音をとる

個別面談時に必ずボイスレコーダーで証拠を残してください。

秘密録音となるが裁判時には有効となります。

スマホにインストールしておきましょう。

会社側から「辞めて欲しい」などの言葉が出たら強力な「退職誘導」の証拠となるためです。

特に以下のようにうまく質問して言葉を引き出すことも大切です。

会話例を紹介しておきます。

人事「他の会社への転職等、同意いただけませんか」

あなた「それは、私に辞めて欲しいということですか?」

人事「いえ、そうではありません」

あなた「では、どういう理由で他社への転職を進められているのでしょうか」

といったような風です。

ポイントは「私に退職して欲しいのですか」という言葉を何度も質問の中に入れて相手から「そうです」という言葉を引き出すことです。

人事や経営者側の人間が「辞めて欲しい」と言った瞬間に、「退職勧奨」ではなく「指名解雇」となります。

方法2:面談を何度も引き延ばして3回以上の回数を重ねる

面談を何度も引き延ばして累計3回以上の回数を重ねさせることで会社側の違法行為状態を引き延ばしましょう。

長期にわたる退職勧奨は「退職への誘導行為」となり違法行為となるためです。

1回目と2回目は仕方ないとしても、さすがに3回以上にわたって特定の社員を狙い撃ちして退職をお願いすることは実質的に指名解雇と変わりません。

必ずスマホで録音をしておきましょう。

方法3:退職勧奨を徹底的に拒め!

とにかく退職勧奨を徹底的に拒みましょう。

自主的な退職を募る行為も結局は解雇と見なされるため、抵抗していれば会社は諦めざるを得ないためです。

とにかく「これは違法行為だ!」と抗議を伝えることで会社側に猛省を促しましょう。

これ以上退職勧奨をするなら会社と徹底的に戦うという姿勢を持つことが大切です。

ただ平行線が続くと退職勧奨をすると会社にも愛想が付きて「もう会社に未練などないよ」と感じてくる方もいるでしょう。

次は、会社と戦うのが精神的に厳しい場合の対処法をお伝えします。

会社と戦うことが厳しい場合には、転職活動をしよう

会社と戦うことが精神的に厳しい場合は転職活動をするという方法があります。

解雇無効の判決を得るまで裁判による法廷闘争や、ユニオンの団体交渉などで長いときは2年間にわたって会社と戦うことになるためです。

戦うことは正しいことですが、その間にブラック企業からの嫌がらせなどで精神を壊されてしまう人もいます。

ではどのように転職活動をすることが良いか紹介していきます。

転職エージェントがおすすめ

会社と戦わずに退職勧奨を受け入れたら、転職エージェントへの登録をおすすめします。

これまでの経歴やスキルに合わせて企業の求人を紹介してもらえるためです。

さらに転職エージェントは履歴書添削や職務経歴書の添削だけではなく、面接指導も行ってもらえます。

特に退職勧奨を受けて精神的に参っている方は、求人紹介を受けたり今後のキャリアプランを掲示してもらうなどして、前向きになる情報も得ていきましょう。

マイナビエージェントは大手の転職エージェントであり、優良メーカーの求人等を多く保有しており、おすすめできます。

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まとめ

退職勧奨とは、会社側が労働者に対して自主的な退職を促す行為のことを指します。

行き過ぎた退職勧奨は違法行為となり、不当解雇と裁判で認定される確率が非常に高くなります。

会社側には、以下の狙いがあります。

  • 会社側の狙いは自己都合退職にすること
  • 労働基準法上、社員を解雇することは不可能

自己都合退職をすることによって、企業は裁判で負けることを回避しているということですね。

退職勧奨されたら、絶対に退職願と退職届を書くことは辞めておきましょう。

ただし、退職勧奨を受けた際に退職金割り増しなどがあり、納得できるのなら受け入れても問題ありません。

会社側がよく使う退職勧奨の手段として、以下の手段があります。

  • 手段1:個室に呼びだして「実はあなたにしてもらう仕事はもうない」と追い込む
  • 手段2:パワハラなどの恫喝を行う
  • 手段3:社外の人材紹介会社会社などを使って他の会社への再就職をさせる
  • 手段4:リストラ請負人として社労士等を活用

会社と戦う場合、以下の方法をとりましょう。

  • 方法1:個別面談時にボイスレコーダーで録音をとる
  • 方法2:面談を何度も引き延ばして3回以上の回数を重ねる
  • 方法3:退職勧奨を徹底的に拒め!

会社と戦うのは精神的にきつい場合は転職エージェントを活用して転職することをおすすめします。

監修者

髙橋弘樹

上場・ベンチャー・中堅企業で様々な役割を経験。今なお、採用・人事の業務を最前線で経験し、「いま」の「生きた」知見を発信しています。