【給与未払いで相談したい方へ】時効期間や相談先・倒産時の請求方法などの全知識

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給与未払いについて

「給料未払いの相談は誰にすればいいの?」

「給料未払いの時効はいつまで?まだ請求できる?」

「給料未払いは弁護士への相談がいいの?労基署の相談がいいの?」

と困っていませんか?

筆者は総務部門で10年の経験が数千人の給与に関わってきました。

まず知っておきたいことは給与未払いは犯罪ということです。

労働基準法24条では雇用した人に対して毎月1回、定められた期日に現金一括払いで給与を全額支払うという義務が経営者にはあります。

働かせておいてお金がないから払いませんは通用しません。

飲食店でご飯を食べておきながらお金を払わないと無銭飲食で警察に捕まり、悪質な場合は詐欺罪で懲役10年以下の罰が課せられます。

給与未払いとはそれに近い、罪の重い犯罪です。

この記事を読めば、給与未払いに対処する方法について理解することができ、給与を会社に支払わせる方法について理解することができます

給与未払いで悩んでいる方は、ぜひ最後までご一読ください。

給与未払いとは?法律の定義を理解しよう

給与未払いとは、経営者が社員に対して本来支払われるべき賃金を支払わない極めて悪質な犯罪行為のことです。

労働基準法でも厳しく取り締まられています。

社員であるあなたは労働の対価を契約通りに受け取る債権(給料という経営者の借金を取り立てる権利)があります。

具体的には、以下の事項を理解しておきましょう。

  • 給与未払は労働基準法24条違反
  • 賃金未払いを請求できるのは2年以内
  • 会社が倒産しても未払い賃金立て替え制度がある

それぞれについて解説します。

給与未払いは労働基準法24条違反

労働基準法24条違反で賃金の未払いは違法となります。

参考:労働基準法第24条(賃金の支払)について|厚生労働省

労働基準法24条(賃金支払いの5原則とも呼ばれるものです)では、以下の法律が定められているためです。

賃金(お給料)は、

  • 1.通貨で
  • 2.直接労働者に
  • 3.その全額を
  • 4.毎月1回以上
  • 5.一定の期日を定めて

支払わなければなりません。

給料を支払わないというのは論外ということですね。

余談ですが現在主流となっている給料の銀行振り込み自体も「本人の同意」をとっていなければ直接労働者に支払っていないため実は違法行為となります。

賃金未払いを請求できるのは2年以内

賃金未払いを請求できるのは2年以内となり、それ以降は消滅時効として請求できなくなります。

労働基準法115条で賃金は2年間で時効を迎えると定められているためです。

参考:労働基準法115条|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

ただし、2022年4月以降の賃金未払いに関しては時効が3年に延長される可能性があります。

参考:未払い賃金の請求期間、当面3年に延長 改正労基法成立|朝日新聞デジタル

民法改正に合わせて労基法も改正されますが、ねじれが起こっています。

民法が5年間請求権アリとなるのに対して、労基法が3年しか請求権がありません。

本来は、労働基準法は特別法であり、民法よりも優先して適用される法律のためです。

労働者を保護するための強力な法律が労働基準法であり、民法よりも短いのであれば特別法としての存在に違和感が残ります。

労働基準法は労働者を守る強行法規であり、非常に力の強い法律です。

本来は民法が5年であれば労基法は7年間遡って経営者に未払い残業代や未払い賃金を支払えと命令できるようにしなくてはなりません。

つまり、労働基準法よりも民法の方が立場の弱い法律なのに、なぜか保護される期間が立場の弱い民法よりも労働基準法の方が低いことでバランスが崩れてしまっているということです。

労働基準法は何があっても労働者を守るという強固な法律のため、もっと強くないとおかしいというのが人事としての実感です。

会社が倒産しても未払い賃金立て替え制度がある

会社が倒産しても未払い賃金立て替え制度があり、お金を貰えないという事態を避けることができます。

労災保険の加入事業所で1年以上働いていた場合、国が未払い賃金の立替払いを行ってくれるためです。

参考:未払賃金立替払制度の概要と実績 |厚生労働省

会社が倒産した事実を証明できる用紙を労働基準監督署で貰って、申請するようにしましょう。

ただし、未払い賃金の8割しか受け取ることができませんので、注意するようにしましょう。

「給料未払いで本当に困っている。会社は倒産していないし、どうすればいいのだろうか」

と気になっていませんか。

次は、給料未払いに対する具体的な対処法について解説します。

給料未払いであればまずは労基署に相談!

給料未払いであればまずは労働基準監督署に相談してみましょう。

賃金未払いに関しては労基が動いてくれる可能性が唯一高いためです。

他のことに関しては動かない可能性が非常に高いですが、賃金未払いに関しては労基法違反なので動いてくれる可能性があります。

参考:全国労働基準監督署の所在案内 |厚生労働省

「労働基準監督署にちゃんと対応してもらうためにはどうすればいいの」

と気になりませんか。

次は、労働基準監督署に素早く動いてもらうコツを紹介します。

労働基準監督署に素早く対応してもらうコツ

労働基準監督署に素早く賃金未払いを対応してもらうためには証拠と話し合いをした経過が重要です。

具体的には、以下の4つのコツがあります。

  • コツ1:賃金未払いの証拠を出す
  • コツ2:電話やメールではなく労基署で監督官に直接お願いする
  • コツ3:社長と話し合いをしておく
  • コツ4:社長に対して内容証明で賃金を請求しておく
  • 要注意:労基署は法的拘束力を持たず企業に命令はできない

それぞれについて解説します。

コツ1:賃金未払いの証拠を出す

賃金未払いの証拠を必ず用意しておきましょう。

証拠が揃っていないと、労基署として動いてくれない可能性が非常に高いためです。

具体的には、給与明細・就業規則・タイムカード・雇用契約書の4点が必要です。

特に雇用契約書とタイムカードは証拠として手に入れておきましょう。

雇用契約書でお給料の金額が分かり、タイムカードは労働の実態を証明してくれます。

コツ2:電話やメールではなく労基署で監督官に直接お願いする

電話やメールでの相談は避けて、管轄の労働基準監督署で監督官に直接お願いするようにしましょう。

電話やメール相談だと後回しされる傾向にあるためです。

証拠を提出したら早く動いてください、と直接お願いするようにしましょう。

後回しにされると1か月経過しても動いてくれない可能性があります。

コツ3:社長と話し合いをしておく

社長が夜逃げしたケースを除いては、賃金未払いについては必ず社長と話し合いをするようにしましょう。

社長と事前に話し合いをしたという事実も労働基準監督署に動いてもらうためには重要なためです。

社長に「給料を払ってくれ」と頼んだがとりあってもらえないなど、請求した事実を残すようにしましょう。

コツ4:社長に対して内容証明で賃金を請求しておく

社長に対して内容証明で賃金を請求するようにしましょう。

話し合いをする場も持てなかった場合には有効な手段となるためです。

賃金を請求したという事実を作り、会社側がそれを無視したとあれば犯罪が成立します。

内容証明でしっかりとお給料を請求するようにしましょう。

要注意:労基署は法的拘束力を持たず企業に命令はできない

労基署は賃金未払いに関しては法的拘束力を持たず、企業に未払い賃金を支払えと命令することはできません。

労基署は是正勧告・指導はできるが賃金を払えと命令することは出来ないためです。

裁判所以外はお金を支払えと企業に命令できません。

是正勧告・指導に応じる企業であれば改善指導の段階で未払い賃金を支払う可能性がありますが、そうでない場合には裁判やユニオンの団体交渉で未払い賃金を取り換えすという手段を取る方法があります。

「労基署は企業に残業代を支払えと命令してくれないの?それじゃ意味ないじゃないか」

と不信感を抱きましたか。

次は、そうしたブラック企業への対応について解説します。

その他の相談窓口としてはユニオンまたは弁護士に相談がおすすめ

労基署以外の相談窓口としては、ユニオンまたは弁護士に相談することをおすすめします。

理由として、労基署が動いても効果がなかった企業に対してはもっと強力な力でブラック企業と交渉に挑む必要性があるためです。

具体的には、以下の2つの方法です。

  • ユニオンに給与未払いを相談
  • 弁護士に給与未払いを相談

それぞれについて解説します。

ユニオンに給与未払いを相談

ユニオンに給与未払いを相談してみましょう。

ユニオンでは給与未払いについて団体交渉などで経営者に対して賃金を支払いなさいと話し合いをしてくれます。

ユニオンの団体交渉は憲法で保障された強力な権利であり、団体交渉を拒否することは日本で最も優先される憲法違反となります。

月1,000円程度で加入できるため、弁護士に着手金を払うほどお金がないという状態の人でも活用可能です。

弁護士に給与未払いを相談

弁護士に給与未払いを相談するという方法もあります。

弁護士は裁判を行い、裁判所に未払いの給与を支払えと命令してもらえるように裁判を起こしてくれるためです。

非常に楽に早く解決できる一方で、着手金が20万円ほどかかってしまうケースもあり、未払い給与の金額が低いと相談料の方が高くなってしまう可能性もあります。

筆者の実感としては経営者からとれる金額が着手金を下回るようなら依頼しても赤字になる可能性があるため、おすすめできません。

コラム:警察は給与未払いに対処してくれる?

警察は刑事事件に関しては対処しますが、それ以外には対処しません。

警察は殺人や暴行などの刑法違反に関しては逮捕する権限を持っていますが、民事事件である給与未払いは取り扱いできないためです。

給与未払いは犯罪ですが、警察ではなく労働基準監督署が取り締まる権限を持っています。

警察に行っても「労働基準監督署に相談してください」と言われる可能性が高いです。

まとめ

給与未払いは絶対に許されない企業の犯罪行為です。

労働基準法24条違反となり、給与未払いは労基署で対応してもらうことができます。

賃金未払いを請求できるのは2年以内であり、会社が倒産しても未払い賃金立て替え制度があります。

給料未払いであればまずは労働基準監督署に相談してみましょう。

労働基準監督署に素早く対応してもらうコツとして、以下の4つのコツがあります。

  • コツ1:賃金未払いの証拠を出す
  • コツ2:電話やメールではなく労基署で監督官に直接お願いする
  • コツ3:社長と話し合いをしておく
  • コツ4:社長に対して内容証明で賃金を請求しておく

注意点として、労基署は賃金未払いに関しては法的拘束力を持たず、企業に未払い賃金を支払えと命令することはできません。

労基署以外の相談窓口としては、ユニオンまたは弁護士に相談することをおすすめします。

ユニオンは月1,000円程度で加入できます。

弁護士は確実に支払い命令を裁判で勝ち取れる代わりに、着手金が高くなる傾向にあります。

経済状況などを勘案して選択肢を選んでいきましょう。