吸収合併されるとリストラされるのか?免れた場合は安泰か?経験者が実情を暴露

企業の吸収合併により

「吸収合併されたらリストラされるのかな?事例を知りたい」

「吸収合併されて残り続けるほうがいいの?辞めたほうがいいの?」

と気になりませんか。

筆者は人事を約10年間経験する中で吸収合併の経験をしています。

人事でしたので吸収合併されたらどのような処遇をされるかを全て見てきました。

その経験からお伝えすると残念ですが吸収合併で消滅会社側の社員はリストラされてしまう可能性は高いです。

吸収する側の社員ならばよい待遇になりますが、吸収合併をされて消滅する側の立場になってしまう社員はリストラの危機に見舞われます。

仮に残れたとしても古い基準が全て撤廃されることになり、これまでのように仕事をしていくことは難しくなります。

この記事を読めば会社が吸収合併になるとリストラされるのかどうかを理解することができます。

吸収合併で今後が心配な方はぜひ最後までご覧ください。

目次

吸収合併されたらリストラされるのか?

企業が吸収合併されたらリストラされるリスクは高いです。

なぜなら、吸収合併される企業の特徴として、「製品・サービスは魅力的だが独力では事業を続ける能力がない」という特徴があるためです。

消滅会社側は自力で事業を続けることが出来なくなったため他の企業に助けてもらうという状態に陥っているケースが多々あります。

つまり、吸収合併される企業は能力がない社員が多いと判断されても仕方がなく、吸収合併後に良い評価を得られることは稀です。

吸収合併とは?

吸収合併とは、2つの会社が一つになることを指します。

吸収合併をすることによって企業の弱点が強化されるというメリットがあります。

例えば自社が保有していない技術を手に入れられるというような事例です。

また、吸収合併する企業が大企業ならば一気にシェアが拡大します。

ただし、力の弱い企業は吸収合併で消滅することになります。

次は、吸収合併でリストラされていく順番について解説します。

吸収合併でリストラされていく順番

吸収合併が起こると役職の高い人から順番にリストラされていきます。

理由として、役職者は新しい経営陣に、

「会社が吸収合併されるほどまでに経営環境を悪化させた無能」というレッテルを貼られているためです。

結果論ではありますが役職が高いほど経営責任を求められます。

具体的には、以下の順番でリストラされていきます。

  • 経営者
  • 管理職
  • 管理部門の一般社員

それぞれについて解説します。

経営者

経営者は真っ先に解雇されます。

吸収合併されるほどに経営を悪化させたのは経営者の能力不足のためです。

吸収合併されるまでに

  • 新規事業への投資
  • 経費削減
  • 人材改革

など、やるべきことはいくらでもあったはずです。

それらをやりきれなかったため倒産したのです。

経営者を降格させても現場がやりづらいため最初にリストラされることになります。

また、経営者本人だけではなく副社長や専務・常務などの役員も同罪です。

本当に優秀な経営陣がそろっていれば吸収合併というような無様な事態にはなっていないはずです。

管理職

経営者がリストラされたあとは、管理職がリストラの対象となります。

ただ、一点だけ注意するべきポイントがあります。

役員とは異なり、管理職は新しい経営者に取り入れば解雇を免れることがあります。

筆者が吸収合併を経験した際には優秀な管理職はリストラされて無能で何もしないタイプの管理職ばかりが生き残るという残念な事例を経験しました。

無能な管理職は一時的にリストラを免れて喜びますが、それだけ能力に期待されていないという点を見逃しがちです。

無能で新しい経営陣に逆らわない管理職ですから、最終的に出向に選ばれる可能性もあります。

解雇されないだけであって幸せなサラリーマンライフを過ごせるとは限りません。

筆者の経験からお伝えすると有能な管理職も無能な管理職も行き着く先は似たようなものです。

管理部門の一般社員

吸収合併でリストラのフィナーレを飾るのは管理部門です。

新しい会社になるときに古い会社の考え方を引きずる管理部門の社員は必要ないためです。

筆者も吸収合併時には人事部が総務と一緒になったり、営業に出向させられたり、辞めさせられたりという事態を経験しています。

また、管理部門の社員を増やしたくないという思惑も重なり辞めざるを得ない事態に追い込まれます。

富士通では2010年代にSI(システム開発)を手掛ける子会社を親会社に取り込む組織改革が行われました。

その際、吸収された側の管理部門は毎日新幹線通勤をしながら名古屋から大阪に通っていました。

他にも非エンジニアにも関わらずシステムエンジニアの職を求められることもあるようです。

一方で入社3年程度の若手ならば営業職に転向するなどして新しい仕事をするチャンスにもなり得ます。

ところで「吸収合併でリストラされなけばラッキーなの」と気になりませんか。

吸収合併を免れても地獄は変わりません。

吸収合併によるリストラを免れても地獄

「吸収合併されてもリストラされなきゃなんとかなる」と思っていませんか。

ですが残念ながら逃げ場はありません。

あなたが吸収合併で消滅する企業側に在籍しているケースでは不遇というケースが多くあります。

ここでは筆者も経験してきた事例を紹介していきます。

給与は減るのか?

吸収合併になったからといってすぐに給料は減りません。

日本の労働基準法上、社員の給与を今より下げることは難しいからです。

もし給与を下げる場合は吸収合併後に着任した新しい社長と労働組合で協議を行う必要性があります。

そのため、吸収合併されれても短期的に、すぐには給与が減ることはないです。

ですが気をつけたいのは、長い目で見ると

  • 吸収合併で消滅する側の企業の在籍者は昇給が小さくなる
  • 最終的には吸収合併される前までに保障されていた給与を得られなくなる

このような確率が高いと言えます。つまり、生涯賃金は大幅に下落するということです。

降格はあるのか?

降格は課長職以上の管理職に関しては十分にあり得ます。

もともと管理職は労働組合に守られた身分ではないためです。

新会社が成立したら、その場で一般社員に降格させられたり、僻地へ人事異動命令を受ける可能性があります。

他にも吸収合併前は支社丸ごとを統括するような立場だった統括部長のような立場の方が立場を追われて閑職に追いやられてしまう可能性もあります。

以前のように安定した立場で管理職をすることは不可能となるでしょう。

退職金は減るのか?

退職金に関しては規定が変更され、最終的な金額が減額される可能性があります。

吸収合併されて消滅した側の企業の社員の待遇を吸収合併で優位に立つ側の企業の社員に合わせることは難しいためです。

消滅会社側は倒産寸前だった企業も少なくありません。

そのような状況で都合よく退職金が出る可能性は低いです。

消滅会社側の社員は本来、退職金はおろか給与さえも危ないところを助けてもらっていると考えると会社から報いがあるケースは少ないと考えることが妥当です。

人事評価はどうなるのか?

消滅会社側の人事評価は間違いなく悪くなります。

倒産寸前だった会社を救う意味で吸収合併をしている企業では、いくら良い評価を上げても出世しにくい給与体系に組み込まれることが多くあります。

それほど消滅会社側の社員の待遇は良くないということですね。

また、吸収合併が起こると人事評価制度を一本化する流れになりますが吸収合併された側の社員の給与体系や評価は低いグレードにとどまることが多々あります。

つまり、消滅会社側は給与が上がらず苦しい待遇で仕事をすることになるということです。

吸収合併によるリストラの体験談

筆者は現在三菱ロジスネクストという社名になっている上場企業に在籍していましたが、入社時はTCM(東洋運搬機株式会社)という名前の上場企業でした。

フォークリフトの国産第一号を製造した老舗の大企業であり、技術力は高かったです。

このTCM社は

  1. TCM
  2. ユニキャリア
  3. ユニキャリアロジスネクスト
  4. 三菱ロジスネクスト

という順番で吸収合併を繰り返して社員1万人規模で世界第三位のフォークリフトになりました。

TCMと日産フォークリフトが吸収合併してユニキャリアになり、その後三菱・日本輸送機と合併して三菱ロジスネクストという名前になります。

4社の上場企業が数年で一気に合併する形でした。

詳しくは日経新聞の記事をご参照ください。

参考:フォークリフト、大型買収で開くか再編第2幕|日経新聞

吸収合併の最中では、経営者が全員解雇されたり、仕事ができる管理職から順番に解雇されたりという理不尽なことが起こります。

また、社員の中にも会社の体制が変わってしまうことにより仕事中にストレスで倒れてしまう社員もいます。

ほかにも出社拒否状態になってしまう社員や、常にイライラしているような精神状態になる社員が出てしまいました。

筆者自身も、仕事の体制もこれまで社長が口出しをしなかったような些細な仕事にも口出しされるようになり、

「思うとおりに仕事が進まない!」とストレスでイライラすることが多くなりました。

しかも、新しい人事制度では消滅会社側はいくら努力しても昇給が安く出世しにくくなり、結果的に筆者は退職しました。

ですが、いまでも辞めて正解だったと思います。

それほど消滅会社側の社員は冷遇されるということです。

次は、吸収合併前にするべきことについて解説します。

吸収合併されたら早めの転職がおすすめ

消滅会社側の方は1秒でも早く転職してしまうことをおすすめします。

理由として、吸収合併1日前に見事に転職を決めていった社員たちがおり、彼らは現在でも楽しそうに仕事をしているためです。

吸収合併に巻き込まれてしまうと仕事が忙しくなり、いままで通りに仕事ができず転職のチャンスを失ってしまいます。

筆者もいま思えば「吸収合併が日経新聞に報道される前のタイミングで転職すればよかった」と思うほどです。

吸収合併されたら、早めに転職活動をするのがおすすめです。

筆者が吸収合併前に活用した方が良いと考えている転職エージェントはマイナビエージェントJACリクルートメントです。

マイナビエージェントは20代の転職に強い転職サイトであるだけではなく、メーカーとITの求人に強いという特徴を持っているためです。

マイナビエージェントは大手マイナビのグループ会社であり知名度が高く大手企業の求人も豊富です。

JACリクルートメントは年収600万円以上の求人がメインの転職エージェントです。

吸収合併されるほど大きな企業に勤務しているのであれば、待遇の良い企業に採用される可能性があります。

JACリクルートメントは外資系に強いだけではなく大手企業の求人も多いため、ぜひ活用してみてください。

まとめ

今回は、吸収合併におけるリストラのリアルについて解説しました。

吸収合併が起こると消滅会社側の社員は以下の順番でリストラされます。

  • 経営者
  • 管理職
  • 管理部門の一般社員

特に本文中でも解説しましたが、消滅会社側の社員がいくら頑張っても無駄というような人事制度が導入されることになるので1秒でも早く転職することが重要です。

リストラされてもされなくても残っているのはいばらの道です。

早く見切りをつけて転職するようにしましょう。

今回はリストラされる社員側の記事でしたが企業における人員整理の実施方法やメリット・デメリットに関しては、下記の記事で詳しく解説されていますのでご参考にしてください。

参考:人員整理とは?実施方法やメリット、デメリットを解説|株式会社パラダイムシフト

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