売上は誰の成果なのか

営業成績だけで社員や会社を評価してよいのか。
町中華で聞こえてきた学生たちの会話をきっかけに、売上と組織の仕事について考えます。

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編集・執筆:株式会社しごとウェブ

このコラムでは、日常の出来事や実体験をもとに、仕事・組織・営業・評価のあり方について考察しています。
今回のテーマは「売上は誰の成果なのか」です。
町中華で耳にした学生たちの会話をきっかけに、販売・仕入れ・品質・仕組みづくりといった、 表面には見えにくい仕事の大切さについて考えてみました。

先日、近所の町中華でマーボー麺を食べていたときのことです。
隣の席に座っていた学生たちの会話が、ふと耳に入ってきました。
どうやらアパレル会社に就職するらしく、将来の仕事の話をしているようでした。

1. 学生たちの会話

「アパレルの花形は販売だからな。」
「俺らが売ってくるからの売上だからさ。」 「売ってくる販売が数字を作ってるんだよな。」

若いエネルギーを感じる言葉でした。
販売という仕事にやりがいを感じ、自分たちが前線で会社を支えるのだという気持ちが伝わってきます。
その意味では、とてもまっすぐな言葉だったと思います。

2. 思わず「うん、そうだ」と言いそうになった一言

そのとき、向かい座っていた友人がこう返しました。

「いや、でも、その売れる商品をバイヤーが仕入れてくるんだから。」

思わず心の中で、「うん、そうだ。」と言いそうになりました。
本当はその場で、もう少し続けて話してあげたかったのです。

企業というものは、数字にならない仕事によって支えられています。
売れる商品を作る人。
売れる商品を見極める人。
品質を守る人。
仕組みを整える人。
そうした多くの仕事が積み重なった結果として、最後に「売上」という数字が現れます。

3. 売上は誰の成果なのか

販売員が売るから売上が生まれる。
それは確かに一つの事実です。

しかしその前には、商品を作る人、仕入れる人、運ぶ人、支える人がいます。
さらに言えば、店舗を整える人、ブランドを育てる人、在庫を管理する人もいます。
売上という数字は、そうした組織全体の活動の結果として現れるものです。

もし「売上は販売だけの成果だ」という見方だけで組織を評価すると、見えなくなる仕事が出てきます。
そして見えなくなった仕事は、軽視されやすくなります。
その積み重ねが、やがて組織の歪みにつながっていきます。

4. 打撃成績だけで球団は勝てるのか

野球で例えるなら、同じことが言えます。

もし球団が、打撃成績だけを評価するとしたらどうでしょう。
ホームランや打率は目立つ数字です。
しかし、試合は打者だけで勝てるわけではありません。

投手が試合を作り、守備が失点を防ぎ、スカウトが選手を見つけ、コーチが育て、トレーナーが体を守ります。
チームの勝利は、そのすべての仕事の積み重ねによって生まれます。

企業も同じです。
表面に見える数字だけで評価し始めると、組織全体の構造が見えなくなります。
打撃成績だけで球団が勝てないように、売上という数字も決して一人の仕事だけで生まれるものではありません。

5. 数字にならない仕事の重要性

組織には、数字になりやすい仕事と、数字になりにくい仕事があります。
営業や販売は結果が見えやすい一方で、品質管理、仕入れ、準備、教育、設計、改善といった仕事は、 数字にそのまま表れにくいことがあります。

しかし、数字にならないから重要ではない、ということにはなりません。
むしろ、そうした仕事がきちんと行われているからこそ、目に見える成果が生まれます。
表面に現れる数字だけでなく、その数字を支えている土台を見ること。
それが組織を正しく見るために必要な視点なのだと思います。

6. 営業成績だけで評価される組織にいた経験

私自身も、かつて営業成績を中心に評価する会社で働いていたことがあります。
その会社では、売上や利益といった数字が強く重視され、営業職の成果は分かりやすく評価されていました。
一方で、技術面を支えるSEや、導入後の品質を守る仕事は、組織の中で補助的な役割として見られがちでした。

しかし、システムやサービスは、営業が契約を取ってくるだけでは成り立ちません。
顧客の業務を理解し、設計し、検証し、問題なく運用できる状態に整える人たちがいて、初めて価値を提供できます。
その見えにくい仕事が評価されない組織では、技術者が定着せず、知識や経験も積み上がりにくくなります。

実際に、技術面や品質管理が軽視されることで、現場に無理が生じる場面もありました。
十分な検証や準備が必要な場面でも、売上や導入スケジュールが優先されてしまう。
その結果、品質に問題が出れば、最終的に困るのは顧客です。

数字は大切です。
しかし、数字はあくまで結果であって、すべてではありません。
売上という結果の裏側には、技術、品質、教育、準備、改善、顧客対応といった、多くの仕事があります。
そこを見ないまま数字だけを評価すると、組織は少しずつ土台から弱くなっていきます。

7. 見えない貢献を評価できる組織であること

組織というものは、一部分だけを見ていては、本当の姿が見えません。
売上という数字だけを見れば、販売や営業の成果が目立ちます。
しかし、その数字の裏側には、商品を選ぶ人、品質を守る人、仕組みを整える人、現場を支える人たちの仕事があります。

そうした見えない貢献を評価できない組織は、少しずつバランスを失っていきます。
表に出る人だけが評価され、土台を支える人が軽んじられるようになると、組織はやがてうまく回らなくなります。
見えない仕事を担う人たちの意欲が失われれば、表に出る成果も長くは続きません。

だからこそ、上に立つ人には、数字に表れる成果だけでなく、その成果を支えている仕事を見る力が必要です。
営業には営業の役割があり、仕入れには仕入れの役割があり、品質管理や教育、仕組みづくりにも、それぞれ大切な役割があります。
その役割の違いを理解し、全体のバランスを取ることができる人こそ、本当に組織を導ける人なのだと思います。

8. まとめ

マーボー麺をすすりながら、そんなことを考えていました。

辛い物が好きな私は、もう少し辛みが欲しいなと思いながら食べていたのですが、
隣の席から聞こえてきた学生たちの会話が、ちょうどいい刺激になりました。

マーボー麺にはもう少し辛みが欲しいと思いましたが、
隣の席の会話は、ほどよいスパイスになりました。
仕事について仲間と真剣に語れる姿勢は、とてもいいものだと思いました。
今後の成長と活躍を、静かに願っています。

この記事を書いた人

株式会社しごとウェブ編集部 佐藤哲津斗 株式会社しごとウェブ編集部

担当:佐藤 哲津斗 ⇒著者紹介を見る

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