町中華で聞こえてきた学生たちの会話から考えた、営業万能論と組織の仕事
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このコラムでは、日常の出来事や実体験をもとに、仕事・組織・営業・評価のあり方について考察しています。
今回のテーマは「売上は誰の成果なのか」です。
町中華で耳にした学生たちの会話をきっかけに、販売・仕入れ・品質・仕組みづくりといった、
表面には見えにくい仕事の大切さについて考えてみました。
先日、近所の町中華でマーボー麺を食べていたときのことです。
隣の席に座っていた学生たちの会話が、ふと耳に入ってきました。
どうやらアパレル会社に就職するらしく、将来の仕事の話をしているようでした。
「アパレルの花形は販売だからな。」
「俺らが売ってくるからさ。」
若いエネルギーを感じる言葉でした。
販売という仕事にやりがいを感じ、自分たちが前線で会社を支えるのだという気持ちが伝わってきます。
その意味では、とてもまっすぐな言葉だったと思います。
そのとき、隣にいた友人がこう返しました。
「いや、でも、その売れる商品をバイヤーが仕入れてくるんだから。」
思わず心の中で、「うん、そうだ。」と言いそうになりました。
本当はその場で、もう少し続けて話してあげたかったのです。
企業というものは、数字にならない仕事によって支えられています。
売れる商品を作る人。
売れる商品を見極める人。
品質を守る人。
仕組みを整える人。
そうした多くの仕事が積み重なった結果として、最後に「売上」という数字が現れます。
販売員が売るから売上が生まれる。
それは確かに一つの事実です。
しかしその前には、商品を作る人、仕入れる人、運ぶ人、支える人がいます。
さらに言えば、店舗を整える人、ブランドを育てる人、在庫を管理する人もいます。
売上という数字は、そうした組織全体の活動の結果として現れるものです。
もし「売上は販売だけの成果だ」という見方だけで組織を評価すると、見えなくなる仕事が出てきます。
そして見えなくなった仕事は、軽視されやすくなります。
その積み重ねが、やがて組織の歪みにつながっていきます。
野球で例えるなら、同じことが言えます。
もし球団が、打撃成績だけを評価するとしたらどうでしょう。
ホームランや打率は目立つ数字です。
しかし、試合は打者だけで勝てるわけではありません。
投手が試合を作り、守備が失点を防ぎ、スカウトが選手を見つけ、コーチが育て、トレーナーが体を守ります。
チームの勝利は、そのすべての仕事の積み重ねによって生まれます。
企業も同じです。
表面に見える数字だけで評価し始めると、組織全体の構造が見えなくなります。
打撃成績だけで球団が勝てないように、売上という数字も決して一人の仕事だけで生まれるものではありません。
組織には、数字になりやすい仕事と、数字になりにくい仕事があります。
営業や販売は結果が見えやすい一方で、品質管理、仕入れ、準備、教育、設計、改善といった仕事は、
数字にそのまま表れにくいことがあります。
しかし、数字にならないから重要ではない、ということにはなりません。
むしろ、そうした仕事がきちんと行われているからこそ、目に見える成果が生まれます。
表面に現れる数字だけでなく、その数字を支えている土台を見ること。
それが組織を正しく見るために必要な視点なのだと思います。
マーボー麺をすすりながら、そんなことを考えていました。
辛い物が好きな私は、もう少し辛みが欲しいなと思いながら食べていたのですが、
隣の席から聞こえてきた学生たちの会話が、ちょうどいい刺激になりました。
マーボー麺にはもう少し辛みが欲しいと思いましたが、
隣の席の会話は、ほどよいスパイスになりました。
株式会社しごとウェブ編集部
担当:佐藤 哲津斗 ⇒著者紹介を見る
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